長い時間をかけて変化するものもあれば、ほとんど変化なんか見せずに、現代に至るものもある。たとえば恐竜はかなりの時間をかけて鳥に進化した。一方で、カブトガニやシーラカンスは、古代のままの姿を維持している。
進化をすることを迫られた種とそうではなかった種とでは、たとえ数億年の時間をかけても、全く今に至るまでの歩みが異なるのだ。
……一体何の話をしているのか、疑問に思われる方もいるだろう。しかし、一部の読者には、もう趣旨がつかめているはず。今回は、長年余所者から「食べ物は美味しいけど、治安は悪そうだよね~」としか評価されていない、九州のあるあるについて紹介していきたいのだ。(文:松本ミゾレ)
「九州と言えば○○」とにかく食べ物関連のワードが多い
先日、ガールズちゃんねるに「九州あるある」というトピックが登場した。このトピックを立てた人は「インスタントラーメンといえば"うまかっちゃん"」と書いている。
うん、九州と言えば、本州ではなかなかメジャーではない即席麺もやたらと知名度が高い。僕は宮崎の生まれだが、以前はテレビを観ていると1日に10回以上「いっちゃん好きたいうまかっちゃん」というフレーズの流れるCMを目の当たりにした。うまかっちゃんはとんこつ風味の即席麺で、紅しょうがと合わせて食うと美味い。
同じ九州の即席麺と言えば、サンポーの高菜ラーメンも美味かった記憶がある。九州でしか流通していないかもしれないが、あれは場合によっては天下を取るほどの美味さである。
と、即席麺ですらそこそこレベルが高いのが九州。当然のように、他にも美味いものは山とある。たとえば書き込みの中には、こういった声があった。
「福岡のもつ鍋、水炊き」
「焼酎が美味しい」
「寿司や刺身につける醤油が甘い! うどんにコシがない! ラーメンがくどい! と、九州に転勤になった当初は憤っていたけど、なんとなくはまってしまい、都内に戻ってきたら何か物足りない」
こういう具合に、九州って他に特段のランドマークもそう多くないからか、食べ物を褒める声が多かった。
実際、九州各県にはそれぞれに名物料理も多い。僕が生まれた宮崎県延岡市も、チキン南蛮発祥の地として、マニアにはよく知られている。
あと、九州は醤油が妙に甘い。個人的には関東圏で一般的に提供される醤油の方が好きだったりする。だけどうどんにコシがないのは、当然のことだと感じている。うどんなんかにコシを求める人間は外道のようなものだとすら思っている。
九州のイメージは昔も今も変わらない!変わる必要性がない!
他にも、九州についてのあるあるとして、様々な意見が飛び交っていた。いくつか紹介してみると、以下のようになる。
「治安が悪い」
「九州の女は強いって言うよりガサツ。特に熊本」
「気が強くてずうずうしい女けっこういる!」
こと食べ物以外の話となると途端にこれだ。九州の人間というのはあんまりいい象を抱かれてはいないことがよく分かる。
確かに福岡あたりは暴力団の抗争が未だに活発だし、街中に「手榴弾を見つけたら触らないで」なんてポスターが貼ってある。方言もちょっとキツい部分があるので、そのせいで口調までキツく感じられる側面は否めない。というか、実際に性格がキツい人も多いし、僕のように陰湿な人間も案外多い。
取り上げた書き込みのコメントにあるように 強い女性も多い。他の地方の女性より明らかに強い。これは九州出身の僕が、その後関東圏や甲信越でそれぞれ数年間暮らしてから得た実感だ。
それから、焼酎のメッカということもあってか、アル中も多かった。うちの祖父もそうだったし、近所には昼間から酒を飲んで暴れる爺さんなんかも大勢いた。流石に今はそんなに多くないだろうけど。
と、ここで「九州あるある」を振り返ってみると、要するに昔も今も、そんなに印象って変わってないということに気付く。僕がまだ小さくて可愛かった頃から、九州は美味いもんが多く、人の血の気が多かった。それが今の時代でも、相変わらず同じような印象を抱かれている。
つまり九州は昔も今も、そしてこれからも、美味いものが多く、そしてその割には住民たちはガサツで粗暴で、口調も荒々しいエリアとして認知され続けるのだ。