FIAフォーミュラE選手権は12月2日、2017/18年シーズンの開幕戦となる香港ePrixが行われ、サム・バード(DSヴァージン・レーシング)が43周の決勝レースを制した。同シリーズ参戦3人目の日本人ドライバーとなった小林可夢偉(MS&ADアンドレッティ・フォーミュラE)は15位で完走している。
2日(日)15時00分(日本時間16時00分)過ぎにスタートが切られたフォーミュラE新シーズンのオープニングレース。同日、決勝に先立って行われた公式予選でスピンをしながらフィニッシュラインをまたぎ、見事ポールポジションを獲得したジャン-エリック・ベルニュ(テチーター)を先頭に全車が1コーナーに飛び込んでいく。
その1コーナーでは3番手スタートのニック・ハイドフェルド(マヒンドラ・レーシング)がアウト側からベルニュに並びかけるも、コーナー出口で行き場を失い4番手にドロップ。ハイドフェルドの僚友で、5番手につけていたフェリックス・ローゼンクビストも1コーナーで順位を落とした。
このふたりに替わってポジションを上げたのは7番手グリッドからスタートしたオリバー・ターベイ(NIOフォーミュラEチーム)。先頭グループのバトルの隙をうまく突いたターベイは、ベルニュ、サム・バード(DSヴァージン・レーシング)に次ぐ3番手にジャンプアップしている。
全20台からなる長い隊列はお互いに車体をぶつけ合いながらセクター2に入っていくが、2コーナーから短いストレートを挟んだ3~4コーナーのシケインでバトルが激化。このなかでアンドレ・ロッテラー(テチーター)が後続の接触を受けたか、タイトな4コーナーを曲がりきれずに停車したことで後続車が立ち往生する事態となり、レースは1周目から赤旗中断となってしまった。
アクシデントから約30分後の15時34分、セーフティカーの先導で3周目からレースが再開。4周目にリスタートが切られると2番手につけるバードがトップのベルニュを激しくプッシュしていく。
後方では6番手を争うルーカス・ディ・グラッシ(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)とセバスチャン・ブエミ(ルノー・e.ダムス)がサイド・バイ・サイドで車体をぶつけながら5周目の1コーナーに侵入するも順位は変わらず。さらにその後方ではローゼンクビストが後続車に追突されスピンを喫した。
6周目にジェローム・ダンブロシオ(ドラゴン・レーシング)がコース上にストップするが、すぐに再始動したことによりイエローフラッグの掲示のみでレースは続行されている。
トップ2台が3番手以下を5秒以上引き離すなか、3番手争いはターベイを先頭に、6周目にハイドフェルドを攻略したダニエル・アプト(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)、ハイドフェルド、ディ・グラッシ、ブエミの5名が数珠繋がりの様相を呈していく。
15周目、バトルのなかでリヤにダメージを負ったディ・グラッシがピットイン。2016/17年王者が早くも戦線を離脱することに。さらに16周目には3番手を走っていたターベイが突然スローダウンし、ポジションを大きく落としてしまった。これでトップ5はベルニュ、バード、約7秒遅れてアプト、ハイドフェルド、ブエミというオーダーでレース中盤戦に入っていった。
まもなくレース折り返しを迎える20周目、スタートから終始ベルニュの背後につけ、プレッシャーをかけ続けていたバードが6コーナーでベルニュの隙を突く華麗なオーバーテイクをみせてトップに浮上。
首位を奪われたベルニュはオーバーテイクを許した直後の21周目終わりにピットへ。翌周にはバードもピットに入るが、ピットガレージを行き過ぎるまさかのアクシデントが発生。バードはピットレーンから2台目のマシンに乗り換えることで首位を守ったが、後にドライブスルーペナルティを課せられることとなる。
ほとんどドライバーがピットでの乗り換えを行なったレース後半戦、5番手を走っていたブエミが電源のシャットダウンにより突如ストップ。トップ10圏外にまで順位を落とした。
上位陣では2番手に落ちたベルニュとハイドフェルドが接近戦を展開する間にトップを走るバードが31周目にドライブスルーペナルティを消化。これでベルニュがトップに立つと思われたが、バードがベルニュに対して7秒ほどのギャップを築いていたこと、そして制限速度50km/hのピットレーンが比較的短かったことから両者の順位は変わらず。バードはトップを死守してみせ、そのままトップチェッカーを受けた。
2位は激しい攻防の末、ハイドフェルドの追撃を交わしたベルニュ。ハイドフェルドは何度もベルニュに並びかけるるも、その都度厳しいブロックを受けポジションを奪うことができなかった。
レース最終盤までローゼンクビストのプレッシャーを受け続けたマーロ・エンゲル(ベンチュリ・フォーミュラEチーム)が自身過去最高位の4位でフィニッシュ。レース序盤にトップ10圏外に落ちながら5番手まで順位を上げていたローゼンクビストは残り2周でペースダウンし、最終的に7位でチェッカーを受けている。
予選13番手から初めてのフォーミュラEに挑んだ可夢偉は、ファン投票によって追加ブーストが得られる“ファンブースト”を獲得。しかし、レース序盤から後方集団から抜け出すことができず、デビュー戦は15位に終わった。
また、可夢偉と同じく今戦がフォーミュラEデビュー戦となったロッテラーは、序盤のアクシデントに加えコーナーのショートカットによるドライブスルーペナルティを受けるなどしてこちらも上位進出はならず。トップと同一周回の16位で完走している。
2017/18年フォーミュラE第2戦はダブルヘッダー戦として12月3日、第1戦と同じ香港の市街地コースを舞台に行われる。公式予選は11時00分(日本時間12時00分)、決勝は15時00分(日本時間16時00分)からそれぞれ開始される予定だ。