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籠池夫妻、異例の「勾留4か月」は「人質司法」か…弁護士が裁判所の対応を批判

2017年12月02日 09:42  弁護士ドットコム

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7月に詐欺の疑いで逮捕された学校法人「森友学園」前理事長の籠池泰典氏と妻の諄子氏の保釈申請が、11月22日、大阪地裁に却下されたと毎日新聞などで報じられた。11月13日、公判前整理手続きが始まったが、7月31日に逮捕されて以後、大阪拘置所での勾留が約4か月に及び、家族との接見も禁止されている。


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通常、詐欺や詐欺未遂の罪で起訴された場合、勾留はどのくらいの期間か。勾留が続くことで、被告人にはどのような不利益があるのか。刑事事件に詳しい小笠原基也弁護士に聞いた。


●なぜ保釈が認められないのか?

「起訴前に勾留されている場合、起訴後も勾留は続きますが、起訴されたその日から保釈の請求ができます。裁判所が、保釈を却下できるのは、罪名が重い場合や、重い前科がある場合など、一定の場合に限られています。


籠池夫妻の場合、『罪証隠滅のおそれ』か『被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき』のいずれかにあたると裁判所が判断しているためと考えられます」


それでは保釈が認められなかったのは、当然のことなのか。


「そうではありません。裁判官によっては、罪状を否認したり、黙秘しているというだけで、容易に『罪証隠滅のおそれ』があるとして、保釈を認めない場合があります。しかし、このような抽象的な『おそれ』だけで保釈を認めないのは違法です。罪証隠滅にしろ、証人等への威迫にしろ、具体的・現実的な危険がなければ、保釈は認められるべきでしょう。


籠池夫妻の場合、詐欺を証明することができる証拠があるからこそ起訴したのでしょう。警察が押収した過去に作成された証拠書類を今さら破棄することは考えられませんし、今回の詐欺は組織性のあるものとも考えられません。詐欺の相手方は公務員であり、これを威迫等するということも現実的ではありません。いかに被害金額が多く、罪状を否認しているとしても、保釈を却下し続けるというのは、組織性のない詐欺においては、あまり例がないことだと思います。


加えて、籠池夫妻は、接見禁止が付されていますが、検察官が、有罪の証拠は十分であると考えて起訴した後まで、長期間接見禁止が継続するというのは、もはや非常識というほかありません」


●勾留が長引くことの不利益とは?

勾留が長引く事で、被告人には、どのような不利益が生じるのか。


「不当な勾留や接見禁止が続くことで、被告人は、保釈による自由な活動ができないこと、それによって、経済的な不利益等が生じることは当然です。さらに家族にも会えず、孤立した拘禁が続くと、精神的にも多大な負担となり、拘禁症状と呼ばれる症状が現れ、命や健康を害することも心配されます。


重要なのは、このような不当な取扱いを行っているのが、訴追をしている検察官ではなく、国民の人権を守るはずの裁判所が行っているというところにあります。このような裁判所の態度が『人質司法』、『中世の司法制度』と国際的に批判されるのは当然です」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
小笠原 基也(おがさわら・もとや)弁護士
岩手弁護士会・刑事弁護委員会 委員、日本弁護士連合会・刑事法制委員会 委員
事務所名:もりおか法律事務所