今週末から、4度目のシーズンとなる2017-2018年開催を迎えるフォーミュラEが中国、香港で開幕する。2018-2019年のシーズン5からはニッサン、そしてBMWが参戦を表明し、その翌年からはメルセデス、ポルシェが加わる予定で、自動車メーカー同士のワークスバトルが濃くなるフォーミュラE。注目のシーズン4はどんな部分が見どころになるのか。
シーズン4となる今季のフォーミュラE、車体はこれまで同様、スパーク/ダラーラ製のシャシーが使用されるワンメイクで、フロントサスペンションも同一のものを使用しなければならない。リヤサスペンションに関しては、各チームの開発が自由で、これはリヤ周りのパワートレインが開発自由なこともあり、ギヤボックスケーシングも異なるため。
バッテリーはウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング製のワンメイクパーツが使用され、予選では268馬力、レースでは240馬力の出力を誇る。レースではファン投票で選ばれた上位3人のドライバーに、5秒間で約22.5馬力のエキストラパワーが追加される。
メカニカルな部分で各チームの勝負どころとなるのが、開発が認められてるインバータ、モーター、そしてギヤボックのパワートレインだ。多くのチームがシングルモーターを採用するなか、NIOフォーミュラEチームは2モーターを採用していたり、インバータのサイズや形状も自由。トランスミッションも初年度はヒューランド製の5速ギヤボックスを採用していたが、シーズン2より各チームの自由となっている。
以上のパワートレインの開発はやはりワークスチームでもある、アウディスポーツ・アプト・シェフラーやルノー・eダムスが進んでいると言われ、今季のシーズン4ではそこにパナソニック・ジャガー・レーシングが加わるのではないかと予想されている。
パワートレインの開発が自由であるとともに、それら構造物の配置もリヤエンドのなかで自由になるため、外見からは同じワンメイク車両ではあるが、重量配分や重心高は各チームで異なり、セットアップも大きく変わることになる。
さらにはドライバーにとって一番の違いは、エネルギーマネージメントの点だ。限られたエネルギーをどのように使い、燃費走行ならぬ電気を有効に使う走りが求められるが、その操作がチームごとに大きく違うのだ。それをたとえて言うならば、「オートマ車とマニュアル車以上の違いがある」と話す関係者もおり、上位チームと中堅以下を隔てる大きな障壁となっているようだ。
日本期待の小林可夢偉が所属するアンドレッティ・フォーミュラEは、昨年までの実績で見るならば中堅チーム。ワークスチームの上位2~3チーム以下は団子状態になっており、ラウンドごと、レースごとで順位が大きく変動する。レース経験豊富な可夢偉ではあるが、WECとは異なる、ドライビング中のエネルギーマネージメントの方法にテストなしでどこまで対応できるのかが勝負どころになる。