2018年3月のシルバーストン戦を皮切りに、初のチャンピオンシップがスタートするTCR UKシリーズ。その開幕に先立ち、この11月末に潜在的エントラントに向けた特別なテストである“サンプラー・デー”がブランズハッチで開催され、各ドライバーとチームは正式参戦を前に各マシンを“試乗する”機会に恵まれた。
今回のテストはシリーズへの参戦を希望するドライバーに対し、複数台のTCRスペック車両をドライブする機会が与えられ、すでにファクトリー契約を結んでいるドライバーに対しては、潜在ユーザーである他のドライバーをサイドシートに招待し、テスト走行するというユニークな試みもなされた。
今回、ブランズハッチのピットロードに並べられたマシンは、2017年のTCRインターナショナル・シリーズにおいてモデル・オブ・ザ・イヤーを獲得したフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRを筆頭に、ホンダ・シビック・タイプR TCR、セアト・レオンTCR、アルファロメオ・ジュリエッタTCR、アウディRS3 LMS、ヒュンダイi30 N TCR、オペル・アストラTCRに加え、来季からアップデートモデルの投入を予定するプジョー・308TCRの合計8マニュファクチャラー(走行7社)が揃った。
すでに複数のTCR UK参戦表明チームが単独でイギリス国内でのシェイクダウンテストを始めているなか、今回のブランズハッチにはそうした有力チームもマシンを持ち込んでのテストを敢行。
BTCCイギリス・ツーリングカー選手権に参戦するマイケル・エップスとローリー・ブッチャーは、BTCCの古豪モーターベース・パフォーマンスと、新規参戦表明のブリスキー・レーシング、双方のフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRをドライブした。
また、2017年にチームBMRのスバル・レヴォーグGTをドライブし、初のBTCCドライバーズチャンピオンを獲得したアシュリー・サットンも姿を見せ、チーム・パイロの新型ホンダ・シビック・タイプR TCRのステアリングを握っている。
そして、2017年最終2戦のインターナショナルにもテスト参戦し、来季から新型マシンの本格デリバリーを予定しているヒュンダイ・モータースポーツからは、i30 N TCRと開発ドライバーのガブリエル・タルキーニが参加。
そのマシンを、今季のTCRインターナショナル・シリーズ王者に輝いたジャン-カール・ベルネイがドライブし、タルキーニがベルネイのゴルフGTI TCRをドライブするという“スワップ・テスト”が見られるなど、デモデーにふさわしいテスト走行機会となった。
2018年3月6日の開幕戦シルバーストンを前に、TCR UKシリーズは公式合同テストとなるオフィシャルラウンチイベントの開催を決定し、同じシルバーストンで最後の走行機会が設けられることを確認。
また、初年度に向けたテクニカル・レギュレーションの一部もアナウンスされ、TCR UK独自のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)調整が、TCRシリーズ全体のBoPに追加する形で運用されることが決まり、ふたつのイベントをまたぐローリング・アベレージとして設定される。
つまり、TCRインターナショナルなどのように週末のレース1、レース2の間にTCR UK BoPが変更されることはなく、レースの週末にパフォーマンスの変動は生じない。
この専用BoPが発動されるのは、第3戦のブランズハッチ・ラウンドからになる予定で、年間のエントリーフィーは1万6995ポンド(約258万円)+VAT(税)となり、2017年12月31日以前に正式申込の場合には、2000ポンド(約30万円)の割引が適用され、このフィーには年間7戦の参加資格に加え、ノックヒル、キャッスル・コンブ、クロフトでの特別テスト走行枠も含まれている。