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永山絢斗、米倉涼子さながらの名外科医に? 『ドクターX 』クライマックス予感させる第8話

2017年12月01日 08:02  リアルサウンド

リアルサウンド

 厚労省がある大学病院の補助金不正使用を隠蔽したという事実を公表する元大臣秘書官・八雲(林家正蔵)の姿から始まった、11月30日放送のテレビ朝日系木曜ドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子』第8話。これまでも様々な陰謀が渦巻いてきた本作で、国家絡みの題材が登場するとなると、それだけでシーズンのクライマックスが近付いているのだと予感させられる。


(参考:『ドクターX』第5期も高視聴率の理由 医療ドラマとしての特殊性を探る


 この八雲は、根治が不可能な「肝外発育型肝細胞癌」と診断され、決死の覚悟で告発に及んだのである。ところがそれを見た蛭間院長(西田敏行)は、病院の株を上げようと彼を受け入れ、大門未知子(米倉涼子)に手術をさせようと目論むのだ。しかし、カンファレンスでは新米外科医の西山(永山絢斗)が執刀医に立候補し、さらに日本医師倶楽部の会長・内神田(草刈正雄)が、八雲の治療を阻止しようと立ちはだかるのである。


 3年前に放送されたシーズン3の終盤、手術不可能といわれた国会議員の手術を大門が担当するというエピソードがあった。その時は、新たな国家プロジェクトを成功させるために必要不可欠な議員を、絶対に治さなくてはならないという筋書きであったが、あまりの難易度に大門もオペを拒否し続けていた。


 同じように国家絡みの題材となった今回ではあるが、そのときとは対照的に、組織的な隠蔽のために手術が成功されては困ると、暗に告げられるのである。やる気満々の大門を退け、外科副部長の海老名(遠藤憲一)に執刀医が委ねられるどころか、大門は病院を解雇されてしまうのである。


 しかし、それに最も焦りを見せていたのは、蛭間と内神田の密約を知らない海老名を含めた外科副部長の3人。いつのまにか、猪又(陣内孝則)も大門の味方的な立場について、すっかり東帝大学病院の空気感は変わり始めていることが窺える。しかも、病院の総力をあげたオペに向けたカンファレンスで見せた妙な一体感は、森本(田中圭)がつぶやくように「すごくいい病院の、すごくまともなカンファレンス」に見えるほどだ。


 二転三転する今回のエピソードの中で、キーパーソンとなるのは、今期から登場した新人外科医の西山だ。自ら率先して執刀医に名乗りをあげ、それが認められなくとも一歩も引き下がらず「患者を救うためなら手段を選ばない」と大門に宣言。そんな彼が、何と内神田の隠し子であったことで、物語はさらに一転するのである。


 半ば脅迫のように内神田から八雲を救うオペの許可を得た西山。強行的にオペをはじめ、内神田からの命で大門が助手につくわけだが、そこで手順に詰まり、大門が代わりにオペを成功させるというのはいつもの流れだ。親子のドラマと新人外科医の成長に、このオペの流れは今シーズンの第2話で、母のオペを執刀することを命じられた伊東(野村周平)の物語と、少し似ている感じがする。とはいえ、伊東はそのまま病院を辞め、バンドの活動に専念することを表明するので西山とは正反対だ。


 会見の場で大門の手腕を讃えた伊東に対し、西山はあくまでも黙り通すことで、権威への抵抗を見せる。そして、父である内神田との会食の場面で、彼はこう言い放つ「俺はあんたの権力にも、あんた自身にも興味ない。何が組織だ。何が権力だ。くだらねえ」。そう言って、彼は母がずっと持ち続けていた、彼の時計を置いて立ち去るのだ。いずれ彼は大門未知子さながらの、組織に媚びない名外科医になっていくに違いない。


(久保田和馬)