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星野源、“不器用な男性役”で今年の秋も大活躍! 『コウノドリ』四宮役で新たな一面も

2017年12月01日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 世の女性たちの出産の不安、子育ての不安を、産科医や助産師たちがあたたかなチームワークで支える社会派ドラマ『コウノドリ』(TBS系)で、今年もまたしても星野源が、お茶の間の顔のひとりとして活躍中である。


(参考:『逃げ恥』プロデューサーが語る、最終回に込めた想い 峠田P「どの生き方も否定しない」


 本作は星野が絶妙なバランス感覚で「プロの独身」男を好演した、大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)と同じ峠田浩プロデューサーが手がけている。前年には『コウノドリ』第1期(2015)で組んでいるわけであり、単純に言えば、秋になれば民放の連ドラで星野の姿を見ることができる年が続いているということだ。事実、本作の視聴率も、最高が第4話の13.6%と好調だ。ちなみに『コウノドリ』第1期は平均視聴率11.5%で、『逃げ恥』が平均視聴率 14.5%(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)であり、星野の作品への貢献度が大きいことは間違いない。


 星野は不器用な男性役がよく似合う。実際にこれまでにもよく、不器用な男性を演じてきた。言い方を変えれば、いろんな意味で人付き合いが上手くはない男性役だ。代表的なのはやはり初主演映画『箱入り息子の恋』(2013)での、不器用ながらも盲目の彼女のために奮闘する、天雫健太郎役だろう。あまりの不器用さに笑って見ていたものの、やがて恋心を知った彼から溢れ出す、ピュアな想いとストレートで大胆な行動には、強く胸を打たれた。同年に公開された『地獄でなぜ悪い』(2013)で演じた通りすがりの“普通の青年”・橋本公次は、ヤクザの抗争をそのまま映画にするというとんでもない事態に巻き込まれる運の悪すぎる男。パンチの効いたキャラや設定が多くある中、彼の独特の間とテンポで見せる普通さ加減は見事なものだった。初主演を務めたWOWOWドラマで、この夏放送された『連続ドラマW プラージュ』(2017)で演じた吉村貴生は、軽い気持ちでウッカリ覚醒剤を使用してしまい逮捕され前科者となってしまった、不器用というか、トンマというか、そんなイタい男である。これには大いにハラハラとさせられたものだ。


 先述したように、いままで星野が表現してきた“不器用さ”は、いずれもコミカルな方向に走る印象が強かった。それに対して『コウノドリ』での四宮というキャラクターは、“不器用さ”のその種類が違うのだ。


 少々冷ややかなキャラクターである四宮だが、それはテレビドラマらしい現実離れしたようなオーバーなものでは決してなく、あくまで現実的な冷ややかさだ。本作が社会派ドラマとしての側面が大きいことは、もちろんその理由のひとつとして挙げられる。愛らしいチームワークにひとりだけ水を差すような男であるが、どこか憎めない。彼の理路整然とした物言いは、あまりに情熱的なペルソナメンバーに対しての冷却効果としても機能している。温和な鴻鳥サクラ(綾野剛)と好対照な関係にあり、しばしば両者は衝突するが、口にすることはどちらも決して間違っていない。ついつい冷たく言い放ってしまうが、その不器用さから垣間見える優しさを、誰もが知っている。この関係性が魅力的だ。彼がみんなに向ける、愛のある皮肉があるからこそ、このチームの絆も見えてくるのである。


 本作での星野が見せる冷たさや不器用な優しさは、それこそが笑いを生み、涙を誘う。第7話は、四宮がサクラのもとを訪れ、意味深な締めくくりとなった。いよいよドラマは佳境へと突入するが、しかめっ面から繰り出される彼の愛のある皮肉を、まだまだ楽しみたいものだ。そしてそろそろ星野のスクリーンでの活躍も、期待値ばかりが上がっていくので実現して欲しい。


(折田侑駿)