トップへ

2年で年商2倍に、ベイクルーズが飲食事業をさらに拡大

2017年11月30日 11:14  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

野田晋作 上席取締役副社長。新業態の「Catch the Cajun Seafood」にて撮影。 Image by: FASHIONSNAP
「ジェイエス バーガーズカフェ(J.S. BURGERS CAFE)」をはじめ、"奇跡のパンケーキ"が人気の「フリッパーズ(FLIPPER'S)」やロブスターロール専門店「ルークス(LUKE'S)」など、複数のグルメブランドを手掛けるベイクルーズ。2017年8月期の飲食事業における売上高は約78億円と2年で約2倍に成長した。その立役者となったのは野田晋作 上席取締役副社長。一時は落ち込んでいたという業績をどのようにして回復させたのか。そして今年話題を集めた「ゴントラン シェリエ(GONTRAN CHERRIER)」の突然の業態変更や、オリジナルブランドに注力する理由とは。

 セレクトショップとアパレル事業をメインに展開していたベイクルーズは、「ジェイエス バーガーズカフェ」の前身で2000年にオープンしたカフェ&ダイナー「スタンダード デリ(standard delli)」で飲食事業をスタート。10年ほど前から多ブランド化を推進し、現在は飲食事業だけで国内外を合わせて25ブランド、日本国内では76店舗を展開している。
 野田氏は飲食事業が振るわなかった2~3年前の時期にトップに就任。同事業にテコ入れし、人員構成を大幅に刷新した。また、メニューの見せ方に工夫を取り入れるなど"わかりやすくいいものを届ける"ことを重視。その結果、当時の年間売上高40億円をわずか2年で2倍に引き上げることに成功した。
 ビジネスの軸は、実店舗の出店。ジェイエス バーガーズカフェやフリッパーズ、ルークスのほか、アパレル併設のデリカテッセン「シティショップ(CITYSHOP)」、ロンドン発のデリカフェ「フランツ アンド エヴァンス ロンドン(FRANZÈ & EVANS LONDON)」などが人気で、ファッション性のある店作りとワクワク感という、アパレルを軸に展開してきた企業ならではの提案を意識しているという。
 海外の人気ブランドを日本に上陸させてきたことでも知られているが、今年はライセンス事業で動きがあった。今年8月下旬にパリ発のブーランジェリー「ゴントラン シェリエ」を全店舗を閉店。その後、自社オリジナルブーランジェリーブランド「ブール アンジュ(BOUL'ANGE)」に業態転換した。パン好きが通う評判の店だったことや、転換後もメニューが大きく変わらなかったことなどから「なぜ?」と疑問が湧く展開だったが、野田氏は「粘り強く交渉したが、契約を続けることが難しくなった。商品ついては、ベイクルーズで開発してきた商品をオリジナル業態で展開している」とし、自社ブランドへの変更は自然な流れだったと説明。クロワッサンは改良を重ね、以前よりも美味しく仕上げたという。
 もう一つの大きな動きは、パリの老舗パティスリーメゾン「ラデュレ(LADURÉE)」とのライセンス契約だ。本国が立ち上げた日本支社があったが、今回の契約締結のもとベイクルーズは新会社ラデュレ ジャポン(LADUREE JAPON)を設立。「別格のメゾンなので、ブランド価値を維持しながら事業展開は慎重に行う」という考えで、事業提携後初となる店舗を2018年に出店することを検討しているという。
 それぞれの形式でライセンスビジネスを展開しているが、野田氏は「海外ブランドは本国の許可が必要になるのでアイデアがすぐに具現化できない」と難しさを挙げる。「ルークスに関しては経営理念も含めてお互いリスペクトしている。ライセンスブランドを展開する時は、信頼し合える関係が大事」。
 近年はオリジナルブランドの展開に注力しており、今年はしゃぶしゃぶ食べ放題の「ごっつ食べなはれ」や、ステーキスタンド「ジェイエス ステーキスタンド カマクラ(J.S. STEAK STAND KAMAKURA)」、体験型ケイジャンシーフードダイニング「キャッチ ザ ケイジャン シーフード(Catch the Cajun Seafood)」などの新ブランドを出店した。オリジナルブランドはスピード感に加え、スタッフの意見を積極的に取り入れている。「皆で店を作り上げることから生まれる愛着感が武器になる。それがビジネスとしても面白いものになっている」。
 飲食の世界では、"インスタ映え"がキーワードになるほど見た目重視のメニューを販売する店舗が増えたが、同社はあくまでも「表層的ではなく、お腹いっぱい食べて満足感を得ること」という飲食の本質を追求してきた。素材からメニュー開発まで独自のクオリティーにこだわるため、新しい挑戦や変化することにも積極的だ。来年は海外ブランドと協業したハイブリッドな新業態を展開する計画。飲食事業で掲げる「Goodを勝ち取り続ける」を実現し、2018年8月期は売上高90億円突破を目指す。
■ベイクルーズ:コーポレートサイト