2017年11月30日 09:43 弁護士ドットコム
LINEは11月16日、送信したメッセージを時間限定で取り消せる機能をもうけることを発表した。12月以降に実装し、対象となるのは24時間以内に送信したメッセージになる予定。この機能により、いわゆる「誤爆」を防ぐことができる。
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ただ、誤爆ではなく、メッセージの履歴を消すための手段としても使うことができそうだ。例えば、これまで、不倫の証拠として、LINEのスクリーンショットなどが出てくることもあるため、法曹関係者からは「不倫の証拠も全部消せるね(^_^)」などの声もあがっている。
確かに、不倫カップルがやりとりをして、24時間以内にお互いに証拠を残さずに消すことができれば、「証拠隠し」に使えそうだ。
今回の新機能は、不倫の証拠隠しのために使えるのだろうか。一般的に不倫の証拠隠しにはどんな困難が伴うのか。長瀬佑志弁護士に聞いた。
そもそも離婚原因となる「不貞行為」の証拠にはどのようなものがあるのか。
「不貞行為の立証するための資料としては、不貞行為をしたことを認める謝罪文や誓約書、不貞現場の写真やビデオなどのほかに、パソコンや携帯電話でのメール、Facebookやブログなどが考えられます。LINEメッセージもそのうちの一つです」
証拠としての価値は高いのか。
「メールやFacebook、ブログの記載内容、LINEメッセージは、不倫カップルが好意を寄せ合っていたり、肉体関係を持ったことを推測させたりするようなやりとりが残っていることも少なくありません。これらは、不貞行為を客観的に立証しうる、証拠価値の高い資料の一つといえます」
それでは、今回の送信取消機能で不倫を隠しやすくなるということか。
「確かに、LINEのメッセージの送信取消機能によって、送信したLINEメッセージを取り消すことができることになれば、不貞行為を客観的に立証しうる資料を消去することができ、不倫の証拠隠しにはなるといえます。
ただし、LINEメッセージ等を削除する前に、LINEメッセージのやり取りが発覚してしまえば、その時点で写真に撮られたりするなどして、証拠として保存されてしまう可能性があることは否定できません。
LINEメッセージの送信取消機能がもうけられるとしても、決して不倫の証拠隠しが確実にできるようになるというわけではありませんので、ご留意ください」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
長瀬 佑志(ながせ・ゆうし)弁護士
弁護士法人長瀬総合法律事務所 代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)
多数の企業の顧問に就任し、会社法関係、法人設立、労働問題、債権回収等、企業法務案件を担当するほか,交通事故,離婚問題等の個人法務を扱っている。
著書「若手弁護士のための初動対応の実務」(単著),『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著),『現役法務と顧問弁護士が実践している ビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著),『弁護士経営ノート 法律事務所のための報酬獲得力の強化書』(共著)ほか
事務所名:弁護士法人長瀬総合法律事務所
事務所URL:http://nagasesogo.com