ディスコは11月27日、「ブラック企業についての考え」に関するアンケート結果を発表した。調査は今年9~10月にネットで実施し、企業1362社の企業担当者と学生1225人から回答を得た。
企業の採用担当者に「自社をブラックだと思う就活生」がいると思うかを聞くと、「大勢いると思う」(2.9%)と「大勢ではないが一定数いると思う」(28.0%)の合計が30.9%となった。この割合は従業員が多いほど増える傾向にあり、同社は、
「大企業は知名度が高い分、学生の目に留まることから『ブラック企業』と思われる機会が多いと感じる割合が高いようだ」
と分析している。
学生側の「ブラック企業」に対する不安が大きい傾向に
「ブラック企業」だと思う条件について聞くと、学生・採用担当者とともに1位「残業代が支払われない」(学生78.4%、企業78.5%)、2位「セクハラ・パワハラがある」(66.6%、70.0%)となっている。
一方「給与金額が低すぎる」(学生62.9%、企業34.2%)、「残業が多い」(56.8%、33.8%)、「有給休暇を取りづらい風土がある」(49.5%、26.5%)については、学生の方が高い選択率を示した。特に「給与金額が低すぎる」については、学生は企業の倍以上にのぼっている。同社は、
「『残業代が支払われない』が最も多くなっていることからも、学生は報酬に対してシビアに考えており、不当に安い賃金に対する警戒感が強いことがうかがえる」
と説明。全体的に、ほとんどの項目で学生の選択率が企業を上回っており、学生側の「ブラック企業」に対する不安の大きさがうかがえる。
「何がブラックなのかを理解せずに、待遇面を中心にして判断をする学生が多い」
またどの程度であれば「ブラック企業」になると思うかを聞いた。ブラック企業になると思う「大卒新卒者の入社3年の離職率」を聞くと、採用担当者は「5割超」(52.0%)が最も多かった。一方学生は「3割超」(32.1%)が最多で、次いで「5割超」(30.2%)となった。
「残業時間」については、採用担当者が「40~60時間未満」「100~120時間未満」(同率24.7%)が最も多い。学生は「40~60時間未満」(27.2%)が最多となった。過労死ラインである80時間を下回る数を回答した割合の合計は、学生(59.4%)が企業(47.1%)を12.3ポイント上回った。
「有給休暇取得日数」は、学生と企業ともに「5~10日未満」(学生43.6%、企業47.1%)が最も多い。厚労省が2016年に行った調査によると、実際に労働者の年次有給取得日数は平均8.8日で、両者とも4割以上が実態に近い日数を基準としている。
同社は「学生の方が企業より全般的に厳しい基準を目安としている」といい、企業からは、
「『ブラック企業』という言葉が先行し、何がブラック企業なのかを理解せずに、休日や残業、給与の待遇面を中心にして判断をする学生が多い」(建設・住宅・不動産)
「企業も是正していくべき点はとても多くあると思う。同時に学生もどのくらいの濃さのグレーなら納得できるのか自分で判断する力が必要だと思う。真っ白な企業はほとんどない」(印刷)
など懸念の声が多く寄せられた。