2017 F2王者 シャルル・ルクレール 最終戦でスプリントレース初優勝 アブダビGPで有終の美を飾る
2017年11月24~26日
アブダビ/ヤス・マリーナ・サーキット
前戦のスペインのレース終了後、F1南米シリーズのフリープラクティス(FP)1を走る為、地球の裏側を飛び回っていたシャルル・ルクレール。一時はマカオGPの参加を真剣に検討していたものの、その翌週にアブダビGPでのF2最終戦が控えていた為、断腸の思いでマカオを断念。
チームタイトル死守を至上命題としてアブダビに入った。来期の去就で常にメディアに追いかけられているにも関わらず、自分のペースを保ちF2に取り組んだ。
既にF2のドライバーズタイトルを決めているシャルルだが、FPではテクニカルの問題でタイムが上がらず9番手のタイムをマークしたところで切り上げ、一方のアントニオ・フォコは5番手のタイムをマーク。トップから0.6秒以内。予選に向けて最後の調整をした。
予選
路面のコンディションからか、全車なかなかタイムが上がらず、ほぼ全ドライバーが最後の1-2周でようやくタイムが出る状態。
しかし今回はアントニオが3番時計と気を吐き、一方のシャルルは6番手。チームタイトルを争うロシアンタイムは#6アルテム・マルケロフがポールに#5ルカ・ギオットがシャルルのすぐ後ろの7番手につき、プレマセオドールvs.ロシアンタイムの一騎打ちの様相を見せた。
フィーチャーレース
ナイトレースとなるフィーチャーレース。フォコはスタート大失敗でせっかくの好ポジションを無駄にしてしまう。シャルルも良いスタートとは言えず序盤は7-8番手からの追い上げとなってしまった。
タイヤのコンデションが落ち着いてくる4周目以降、ふたりのドライバーによるいつものオーバーテイクショーが始まり、ポジションを次々と上げていく。
7周目、フォコがタイヤ交換。12番手でコースに復帰。その後もシャルルの如くラップ毎に順位を上げていく。
一方のシャルルは9周目に#3ニック・デ・ブリーズ(レーシングエンジニアリング)をロックオン。そして11周目、シャルルはついに待望のトップに立つ。
その後のシャルルは更にプッシュし、自らのタイヤ交換時にロスタイムを最小限に抑えるべくリードを広げる。
31周レースの23周目の終了時点でピットイン。タイヤを換えて5番手でコース復帰。タイヤが温まるとすぐに追い上げを開始し3番手へ。フォコも5番手に上がる。
トップを行く#9オリバー・ローランド(DAMS)とシャルルの差は15秒前後。その間にフォコが4番手に上がる。
結局、最終ラップまでにトップとの差は縮まらず、シャルルは3位、フォコは4位でチェッカーと思われたフィニッシュライン直前。シャルルが急減速しフォコに3位ポディウムをプレゼント。
これでオリバーが優勝、2位がマルケロフ、3位フォコ、4位シャルルと思われたその1時間後、再車検でテクニカル問題が指摘され、なんとオリバーとフォコの記録が抹消。一転してマルケロフが優勝、2位シャルル、そして3位にギオットと言う順位に入れ替わり、これがチームタイトル争いにおいてプレマ・セオドールを一気に不利な状況へと追い込んだ。
このレース前はプレマ・セオドールが347点・DAMS345点・ロシアンタイム341点と僅差で3チームが競っていたが、このロシアンタイムの1-3位フィニッシュとプレマ・セオドールの2位のみのポイント差はあまりにも大きく、ロシアンタイム385点V.S.プレマ・セオドール365点と一気に20点差へと開いてしまった。
DAMSの取りこぼしは更に大きく355点となり事実上、この段階でチームタイトル争いから脱落した。
スプリントレース
リバースグリッドでシャルル7番グリッド、フォコは最悪の19番手からのスタート。少なくともダブルポディウムを達成しないとチームタイトルは不可能と言う圧倒的に不利な状況の中でのスタートとなった。
素晴らしいスタート決めたシャルルはいつも通り混乱の中を掻き分けて1周目終了時には5番手。しかし混戦の中にいる為、順位を入れ替えながらの走行となる。
14周目にシャルルは松下をパスし3番手。フォコも15番手まで上げる。この時シャルルとフォコは他の全車より1秒以上速いラップタイムで走行。残り6周でトップまで僅か2秒。トップを行く#8アレキサンダー・アルボン(ART)を激しく追い上げる。
18周目、2位を行く#10ニコラス・ラテフィ(DAMS)をパスして2番手。この段階でトップに1.2秒遅れ。
20周目、セクター3でイエロー。22周レースのラスト2周は今シーズンの激しいF2レースの真骨頂とも言える展開となった。
21周目、シャルルはスリップから抜け出すがオーバーテイク失敗。そして二度目のトライで成功。パーツを飛ばしながらアルボンを抜き去るシャルル。そしてチェッカー。
2017年の王者はあまりに強く、明確に他のドライバーとは一段、格が上である事を全ての人の脳裏に鮮明に焼き付けながらF2最後のフィニッシュラインを横切った。
フォコはポイントまであと一歩の11位で終わり、残念ながらチームポイントは15点を加算し380点。一方のロシアンタイムは10点を得点し395点。15点差でチームタイトル連覇の夢は破れてしまった。
現行車輌、最後のレースとなるアブダビのレースは一喜一憂する内容となったが、様々な要因で日曜日のスプリントレースで勝てなかったシャルルはこれでF2に思いを残す事はなく次のステージに行けるでしょう。
またシャルルと比べてやや不運が重なったフォコも、タイムを見ればシャルルと遜色の無いドライバーである事を証明できたと思います。
新世代のマシンとなる来期からのF2は、既に発表されている様に、今年のF2で活躍したショーン・ゲラエルを迎えて、また新しい取り組みを始めます。
他のカテゴリー同様、多くの応援を頂きました事、本当にありがとうございました。
2017年度 FIA Formula2 リザルト
ドライバーズランキング
#1 シャルル・ルクレール シリーズチャンピオン
#2 アントニオ・フォコ シリーズ8位
チームランキング
シリーズ2位
コメント
テディ・イップJr.
最後のレースで優勝し、有終の美を飾りました。シャルルはとても素晴らしいドライビングを見せてくれました。チームタイトルは残念ながら小さなミスで我々の手から溢れてしまったけれど、チーム全員の努力とシャルルとアントニオのパフォーマンスで構成されるこの素晴らしいチームは私の誇りです。皆と一つのグループになれた事は素晴らしい事だと思います。来年にまた期待します。
#1 シャルル・ルクレール
レースに勝った事、この様な流れでシーズンを終わらせた事を非常に嬉しく思います。
日曜日のタイヤのマネージメントは本当に良かった。金曜日はちょっと問題を抱えていて、大変な状況だったのに、日曜日にこの様な結果を出せた事は本当にポジティブな事だと思います。この週末の一番良い出来事だと思います。
最後の方は意味の無いイエローが出ていてDRSが使えませんでした。T7でアルボンが外に膨らんでイン側に隙ができた。もちろんアルボンはドアをクローズしようとしたけどそのタイミングがズレていた。その僅かな隙に入ったのでタッチしてしまったけどオーバーテイクを成功する事が出来たのです。
#2 アントニオ・フォコ
このコースでリカバーするのはとても難しいと言う事が分かっている。なので最初の数ラップでもっとリスクを覚悟して詰めるべきだった。しかしながら最後の方はペースが良くなってポイントゾーンに入れた。
今週のプライオリティはチームタイトルの獲得だったのだけど、残念ながら取りこぼしてしまった。けれどこのイベントでチームは進むべき道を進み、100%の力を出した事は事実です。