ホセ-マリア・ロペスを筆頭に、世界的ツーリングカー・ドライバーを多数輩出してきたアルゼンチン屈指の人気カテゴリー、スーパーTC2000の第11戦ジェネラル・ロカが11月24~26日に開催され、TOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナのマティアス・ロッシ(トヨタ・カローラ)が、土曜のクオリファイレース勝利に続き、日曜のフューチャーレースでもポール・トゥ・フィニッシュを飾り、週末完全制覇を成し遂げた。
アルゼンチン中南部リオネグロのネグロ川沿いに位置する中核都市、ジェネラル・ロカのトラックで開催されたSTC2000の第11戦は、予選からロッシのカローラが圧倒。
早々に土曜クオリファイレースに向けてのポールポジションを確定させると、その隣フロントロウには前戦サン・フアン勝者のプライベーター・フォードをドライブするダミアン・フィネンチ(エスクーデリア・フェラby RAMレーシング/フォード・フォーカス3セダン)が並び、午前のプラクティスでの大クラッシュを乗り越えて見事なアタックをみせた。
快晴のもとスタートが切られたクオリファイレースはロッシが順当にホールショットを決め、2番手のフィネンチ以下、3番手に2016年王者のアグスティン・カナピノ(YPFシボレー/シボレーYPFクルーズ)、4番手にWTCC世界ツーリングカー選手権レギュラーで、アジア・ラウンドではホンダ・ワークスのシビックをドライブするエステバン・グエリエリ(シトロエン・トタル・レーシングSTC2000チーム/シトロエンC4ラウンジ)が続いた。
しかし、そのオープニングラップの最終コーナーで早くも大規模なクラッシュが発生し、セーフティカー(SC)が導入される事態に。
発端となったのは、TOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナのガブリエル・ポンセ・デ・レオン(トヨタ・カローラ)で、最終コーナー立ち上がりのアウト側にマシンを落とし、バランスを崩してイン側に巻き込むようにスピン。そのカローラに後続のファクンド・チャプル(チーム・プジョー・トタル・アルゼンティーナ/プジョー408)、カルロス-ハビエル・メルロ(フィアット・ペトロナス/フィアット・リネア)が避けきれずに追突。
とくにメルロはカローラのドアめがけてTボーン状態となり、プジョーはその失速した2台に大きな速度差でヒットしたものの、いずれもドライバーは無傷と大事には至らず。
SCが去ったリスタート後は一転して車列は落ち着きを取り戻し、波乱なくほぼそのままのポジションで12周のチェッカー。
ロッシ、カナピノ、フィネンチが表彰台を獲得し、4番手にグエリエリが続き、この上位ポジションがそのまま日曜フューチャーレースのスターティング・グリッドとなった。
前日のアクシデントで大破していたチャプルのプジョー408と、メルロのフィアット・リネアも修復が間に合い、それぞれ25番、26番グリッドからの出走なった日曜は、前日のリプレイを見るかのようにポールスタートのロッシがリードを維持して1コーナーへ。
オープニングラップで2番手シボレーYPFクルーズの王者カナピノが3度のアタックを見せるも、カローラはリヤを突かれながらなんとか耐え抜き、首位でコントロールラインを通過していく。
その後方では、現時点でポイントリーダーの座に立つルノースポールのファクンド・アルドゥソ(ルノー・フルーエンスGT)が、この週末タイトル確定のわずかな望みに賭けて4番手のグエリエリと激しい攻防を演じる中、5周目に両者は接触しルノーは9番手にまでポジションダウン。
その間隙を突いて、タイトル争いのライバルであるマリアーノ・ウェルナー(チーム・プジョー・トタル・アルゼンティーナ/プジョー408)が労せずして6番手浮上に成功する。
続く9周目にはトラブルによる車両火災が発生し最初のSC出動となり、リスタート後はこう着状態が続いたが、17周目に突如ウェルナーの左フロントタイヤが悲鳴を上げ、ロングストレートエンドでバースト。プジョー408はコントロールを失いグラベルトラップでマシンを止め、再びのSC導入となった。
そのリスタート後はパック後方でトラブルや離脱があったものの、上位勢は安定したレース運びを見せ31周のチェッカーに向け快走。ロッシが前日に続く完勝で週末パーフェクトを達成すると、カナピノ、フィネンチと同じ顔ぶれが表彰台を占拠した。
4番手には序盤のアクシデントで後方に下がっていたルノーのアルドゥソが流石の執念でカムバックし、タイトル争いに王手をかけている。
いよいよ最終戦を迎えるSTC2000の第12戦は、12月15~17日にアルゼンチン第二の都市コルドバの、アウトドローモ・オスカー・カバレーンでシーズンフィナーレを迎える。