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“強キャラ男子のタッグ”って最高じゃない? カツセマサヒコが『探偵はBARにいる3』を徹底解説

2017年11月28日 12:52  リアルサウンド

リアルサウンド

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 BLの話ではないんですが、タイトルのとおり、「映画やアニメ、ドラマに出てくる“男子二人組”」って、めちゃくちゃカッコよくないですか? たとえば、部活の先輩と後輩、会社の上司と部下、師匠と弟子、雇い主と助手。クラスメイトやチームメイト、犬猿の仲だった別組織のエース二人の共闘。


参考:息の長いシリーズになる可能性も!? 探偵モノ×バディ・ムービー『探偵はBARにいる3』の魅力


 ときには若干の上下関係がありながらもお互いを信頼し合って行動し、大した会話もせずに阿吽の呼吸で物事を片付けていく展開、まさに男の理想って感じがしてたまらんのです。


 そんな「超かっけぇ最高のタッグ」をトコトン楽しませてくれる作品が、12月1日公開『探偵はBARにいる3』なのです。今回は試写を観たうえで、個人的なオススメポイントを紹介していきたいと思います!


■ポイント1:「探偵」と「高田」の関係が相変わらず最高


 なんと言っても魅力なのが、大泉洋さんが演じるハーフボイルド(ハードボイルドにはなりきれない男)なススキノのプライベート・アイ「探偵」と、松田龍平さんが演じる相棒兼運転手、大学農学部で助手を務める「高田」の関係性です。


 「探偵」はとにかくクールでありたいのに人情と美女にとことん弱いし、とにかく仕事運がめちゃくちゃ悪い。軽く引き受けたつもりの仕事でばんばん人が死ぬし、すーぐ裏社会につながっちゃう。今回もヤクザから散々な目に合わされるのですが、その様子だけ見たら『水曜どうでしょう』を超えてると思うほどコメディ。大泉さんが酷い目に合うとついつい面白く思えてしまうのは、完全にあの番組のせいだと僕は思っています。そしてもちろん、しれっと名ゼリフを吐いちゃうカッコよさは今回も健在。きっと映画を観終わってからも心に残るセリフを皆さんも見つけられると思います。


 そんな「探偵」の最高すぎる相方が、大学農学部で助手を務める「高田」。決してオシャレとは言えない眼鏡に一切セットされていない(ように見える)髪。見た目からして鈍臭い印象しかない「高田」ですが、こいつがまあケンカにめっぽう強い。ヤクザを相手にしてもバッシバシとやっつけていく様子に惚れ惚れします。「探偵」に対して完全にタメ口だし、いつもやや舐めた態度でいるのに、気付けばいつも横にいるし、「探偵」がピンチのときには必ずと言っていいほど遅れて登場するのもツボ。お互いが信頼し合っていることがなんとなーく空気で伝わるんです。これって、男同士の特有なモノだと思いませんか。筆者はそういう少年ジャンプ的な空気感が大好きなのです。


 ちなみに「1」「2」を観た人向けに話すと、「高田」を演じる松田さんは、今作について「これまでは探偵の2歩後ろくらいを歩いてる感じだったんですけど、ちょっと同じ歩幅で歩けたらなって思って」と語っています。演者のさりげない工夫や変化も盛りだくさんで、お馴染みの登場人物や車にも、「あ、こいつ、こんな顔もあったのか」とか「わ、それは知らなかった」といったドラマが盛りだくさん。前作までとは違った一面が見られるのも、今作の見所です。


■ポイント2:北川景子さんが可愛すぎるし、前田敦子さんがあざとすぎる


 『探偵はBARにいる』シリーズの特徴として、ヒロインがやたらと美人ってのがあるんですけど、1作目の小雪さん、2作目の尾野真千子さんに続いて、今作の北川景子さんもべらっぼうに可愛いです。


 しかも今回は、可愛いだけじゃない。北川さんは派手なアクションにも挑戦しているんですが、これが結構ハマっているし、ヒールで全力疾走するシーンもなかなかのもの。でも、何より注目してほしいのが、過去の回想シーンで出てくる北川さん。これがもう、鬼可愛い。細かなことは言えないのですが、今作の鍵を握るシーンでもあるので、是非是非観てほしいです。


 また、作品の鍵を握るもうひとりの人物として登場するのが前田敦子さん! もうね、「お前は本当にそういう性格だろ!」と疑いたくなるほど、天然あざと女子がハマり役なんですよ。おっそろしいほどの天然具合で、「探偵」たちを怒涛の勢いでヤバい方向に導いていくので必見です。北川さんと前田さん。このふたりのタッグは、いろんな意味で最強で最恐でした。


■ポイント3:アクションシーンや音楽、脚本、全てにおいて(個人的に)過去最高!


 “爽快感”がシリーズを通してぶっちぎりで一番だと思っている今作。その理由のひとつにアクションの派手さがあると思います。初出演となる超絶イケメン・志尊淳さんが演じる“高田より強い敵”と「高田」の一騎打ちはこれまでにない印象的なシーンだし、リリー・フランキーさんの悪役の動きはもうハマりすぎ。前作までが「乱闘」と言うなら今作はハッキリとした「戦闘」だと言えて、その要因には、今作からメガホンを取った吉田照幸監督がこれまでとは違った撮影方法でアクションシーンを撮っていることが挙げられます。俳優がゆっくり動いてパンチやキックを繰り出し、実際に殴る。それを後から編集で早回しして臨場感を出す撮影技法で、新たな境地を見せています。ノースタントで挑んだ北川さんの迫真の演技しかり、飽きさせない展開が最高でした!


 また、シリーズ全編を通して使われているメインテーマが、やっぱりどちゃくそカッコいい! 『相棒』シリーズの楽曲提供なども務めたベーシストの池頼広さんがつくった当曲。スラップとタイトなドラムが生み出すグルーヴ感とシブすぎるサックスがとにかく耳に残る、残る! 上映が終わって劇場を出るとき、脳内であのテーマソングを流しながら少し大股で歩く自分がいました。きっと皆さんもそうなると思います。


 そして、『探偵はBARにいる』といえば、やはり脚本の面白さ! 今作も古沢良太さんと主演の大泉さんが何度も話し合って練り上げていったそうですが、前作から4年の歳月をかけて作られただけあって、テンポも見せ方もクライマックスへの持っていき方も、個人的には、過去最高! 原作の小説『探偵はBARにいる』をリスペクトしつつもオリジナリティを見せた作風は、原作ファン、過去2作品のファン、今作から観る人、全員を楽しめるための工夫がいたるところで見られます。「1、2を観たことがないから~」と観ることに抵抗感がある皆さん、大丈夫です、安心して今作から楽しんでください。


■おわりに


 以上、少し長くなりましたが、『探偵はBARにいる3』をオススメする理由を紹介しました!


 公開は、12月1日(映画の日)! 


 「なんかスカっとしないなあ」「しばらく邦画観てないなあ」「てか映画館とかしばらく行ってないないなあ」と思っている皆さん、冬が訪れる日本を熱く熱くする本作を、是非劇場でご覧くださいっ! マジで! オススメします!!(カツセマサヒコ)