GT-R、そしてS耐用フェアレディZによる『ニスモGP 2017』の様子。今季も多くのファンとともにイベントが行われた。 11月26(日)、これ以上ない晴天のもと、富士スピードウェイにおいてニッサン/ニスモのモータースポーツファン感謝イベント『NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2017』が開催された。20回目となった今年もその人気は健在で、2万8000人もの観客が来場。熱烈なファンはサービス満載のコースイベント、そしてステージでのトークショーなどを大いに楽しんだ。
1997年からオフシーズンに開催されてきたニスモフェスティバル(2012年のみ本社移転作業により未開催)。メーカーによるモータースポーツイベントとしては先駆けと言える存在であり、のちに同様の他社イベントも行われているが、ニスモフェスの人気の高さは変わらず、毎年ほぼ3万人規模の集客力を誇っている。
■冒頭からチャンピオン奪還宣言
“20回の開催”の意義は大きく、長谷見昌弘監督や星野一義監督といった日本を代表するドライバーの現役引退年度には、特別コンテンツも実施。また、その際にはゆかりある車両がレストアされ動態保存されるなど、ニッサン系レーシングカーを後世に残す足がかりともなってきた。
このように、いまやニッサンにとっても重要な意味を持つこととなったニスモフェスティバルだが、今年のオープニングではまずはスーパーGT500クラスでMOTUL AUTECH GT-Rを駆る松田次生と、田中利和ニッサンチーム総監督があいさつ。そして、そこで語られた言葉は「来年は必ずチャンピオンを取ります!」というものだった。
一年を締めくくるイベントでのいきなりのチャンピオン獲得宣言に、ファンは大喜び。勝利を飾ったスーパーGT最終戦での勢いそのままに、2017年のニスモフェスティバルも力強く幕を開けた。午前中、引き続き行われたのは『ニスモカーズパレード』や『サーキットサファリ/レーシングカー同乗走行/サーキットタクシー』といったコースイベントと、メインスタンド裏でのステージイベント。
特に、『なりきりKIDS』や『レースクイーンステージ&フォトセッション』といったステージイベントには、コアなレースファンのみならず家族連れなども訪問。参加型から観覧モノまで、今年もすべてのお客さん楽しめることを意識した催しが多数用意された。
■トークショーにはドリキン&コマスも登場
その後、コース上では『Zチャレンジエキシビションレース』と『NISSANヒストリックカーエキシビションレース』といった本格的なレースが実施されたが、一方で、ステージでは “恒例の”トークショーが行われた。今年のトークショーは20周年を記念し『FESTA 20th Special Talk』と命名。長谷見監督、星野監督に加え、60~70年代にニッサンのワークスドライバーとして活躍した高橋国光や、とともにグループAレースを戦った土屋圭市がゲストとして参加。トークでも魅せる“ドリキン”を先導役に得たトークショーは例年以上の盛り上がりをみせ、会場は終始笑い声に包まれた。
長谷見監督、星野監督、高橋氏の降壇後は、その次の世代となる影山正美と本山哲が登場。さらにJGTC全日本GT選手権ではスカイラインGT-Rを操り、98年、99年とシリーズを連覇したエリック・コマスもゲストとして加わった。
自ら「“昭和”38年生まれ」と語るコマスは、「カナリワスレマシタ」と言いながらも、流暢な日本語を披露。引き続き壇上に残った先輩たちとともにマル秘トークを展開しつつ、20年近く前に操った車両が当時さながらに走行できることに驚いていた。
■ファン垂涎の歴代GT-Rたちが勢揃い
午後になると、こちらも恒例の『NISMO GP』が行われた。スーパーGT500クラス、そしてGT300、スーパー耐久、そしてブランパンGT・エンデュランスシリーズに参戦していたニッサンGT-RニスモGT3という最新マシンが登場。コース上では各クラスの車両が激しいポジション争いを見せたが、ここで“大暴れ”したのはMOTUL AUTECH GT-Rのロニー・クインタレッリ。最終コーナーの立ち上がりでは、レース時では絶対にあり得ない、意図したドリフト走行を披露。結局、ピットイン時のタイムロスも最小限にとどめ、MOTUL AUTECH GT-Rが勝利を飾った。
『レジェンドドライバーサイン会』や『ピットウォーク』を経て、イベントはいよいよ佳境へ。「20回目にふさわしいコンテンツ」を目指し行われた『CRAFT SPORT presents RACING GT-R HERITAGE RUN』が、走行イベントの最後を飾った。
これは、その名のとおり歴代のレーシング仕様GT-Rが一堂に会し、近年の車両から、90年代のル・マン仕様やグループA仕様が当時のドライバーたちの手により快走するというもの。特にグループAの人気は高く、カルソニックGT-R、STPタイサンGT-Rに加え、プライベーターとして唯一自社メンテナンスのエンジンを搭載し、93年には1勝を得たHKSスカイラインもコースに姿を現した。
最後はGT-Rの第一世代となるGC10型『ハコスカGT-R』と、実戦には投入されず「幻のGT-R」と呼ばれた『ケンメリGT-R』がコースへ。高橋国光、北野元、長谷見監督のドライビングによって心地よい直列6気筒サウンドをサーキットに響かせた。
■「来季この場所で皆さんと喜びを分かち合いたい」
そしていよいよグランドフィナーレへ。全日本F3選手権でチャンピオンを獲得した高星明誠の表彰に始まり、スペシャルゲストドライバーたちへの花束の贈呈も行われた。続いて登場した片桐隆夫ニスモCEOは、「マシンの競争力確保に苦しんだ一年でしたが、来年につながる“力”を確認できました。悔しさを糧にライバルに負けないクルマを作り、1年後にこの場所で皆さんと喜びを分かち合いたいと思います」とコメントした。
さらに、新たなチャレンジとして「来年12月から、フォーミュラEという将来につながる挑戦も始まり、ニッサン/ニスモとして全力をあげて頑張っていくので、ぜひ応援を宜しくお願いします」と活躍を誓い、イベントを締めくくった。