2017年11月26日 11:03 弁護士ドットコム
配偶者の親族との折り合いの悪さから、離婚を考える人たちもいる。そんな人たちから弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた質問を読んでいくと、中でも「姑」との関係悪化から、夫婦関係が悪化したり、離婚を余儀なくされたりするケースが目につく。
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ある女性は、家こそ別棟ではあるものの、敷地内には夫の両親が暮らす。「姑の過干渉、夫婦のライフスタイルやお金の使い道、共働きによる家事分担への口出し。気に要らない事があるとすぐ私の両親に電話連絡や、親戚を使って私への忠告」などに悩まされているという。夫は何の対応もしてくれないため、夫婦仲も悪化している。
女性は離婚をし、姑から慰謝料をとりたいと考えているそうだ。このような理由でも離婚はできるのか。あるいは、姑に対して、内容証明郵便を出したり、親族関係紛争調整調停の申し立てをしたりすることで効果はあるのだろうか。木下貴子弁護士に聞いた。
「ご相談について(1)夫と離婚できるか、(2)姑から慰謝料を取れるか、の2つにわけて解説していきます。
まず(1)の夫と離婚することができるかどうか。姑との不仲だけを理由に離婚は認められませんが、不仲が原因となり『婚姻を継続しがたい重大な事由がある』(民法770条1項5号)と言える場合に裁判では離婚が認められます。
例えば、何度も夫に注意して欲しいと言ったにも関わらず、『姑』との関係悪化に対して夫が何も対応しなかったため、夫婦関係を破綻させた、と言えるのであれば、離婚が認められることもあるでしょう」
では(2)の慰謝料については、どうだろうか。
「私が扱ったケースでも、義理の母の不法行為を理由に慰謝料請求を認めた判決がありましたので、可能性はあります。しかし、今回の相談者は、慰謝料請求の理由として過干渉を理由にあげていますが、どこまでの干渉が『違法』となるのか基準が曖昧であり、難しいかと思われます」
なお、このような親族が不仲の場合には、内容証明や親族関係紛争調整調停などの手続きによって改善は期待できないのか。
「直接の話し合いは難しいケースでもこのような手段を使うことで対応が変わることもあるでしょう。しかし残念ながら、内容証明の発送や調停の申し立ては、それだけで法的な効果が発生するものではありません。そのため、相手方がどれほど誠実に対応する姿勢のある方かどうかによって効果は違います」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
木下 貴子(きのした・たかこ)弁護士
離婚・親権・養育費の分野で900件以上の案件を扱う。「離婚後の親子関係の援助について」「養育費」をテーマに講演。離婚調停での「話し方」アドバイスブックはこれまでに9000人以上が利用している。著書「離婚調停は話し方で変わる」がAmazon法律部門他ランキング第1位獲得。
事務所名:多治見ききょう法律事務所
事務所URL:http://tajimi-law.com