岡本光博の展覧会『THEドザえもん展 TOKYO 2017』が、12月2日から東京・神楽坂のeitoeikoで開催される。
青森・青森県立美術館に市販のカップ焼きそばに似た巨大オブジェを出現させた『UFO』や、ディズニーをテーマにした展覧会『ディズニー美術』などを手掛け、アートと著作権の関係などを題材にした活動を続ける岡本光博。
『THEドザえもん展 TOKYO 2017』では、2000年に青森県立美術館の展覧会『キッズ・アート・ワールドあおもり2000-終わる世紀とはじまる未来-』で発表された、既製品の人形を池に浮かべた作品『ドザえもん』の新作を発表する。
岡本光博は同展に際し、「『ドザえもん』は言葉遊びの作品。私のオリジナル作品として、ある漫画から引用し、タイトルはカタカナと平仮名で表記しているが、元になっている言葉は『土左衛門』と漢字で表記する。江戸時代の大相撲の力士の名前であり、水で溺れて亡くなった死体が、その力士に似ていたのだという。江戸時代の言葉が現代にも生き続けているように、引用した漫画もまた、昭和から現在に至るまで、世代を超えて支持され続けている」とのステートメントを寄せている。
■工藤健志(青森県立美術館総括学芸主幹)のコメント
2000年の「キッズアートワールドあおもり」で展示された《ドザえもん》から17年。満を持して開催される個展が、今回の「THE ドザえもん展 TOKYO 2017」である。思えば、この間に日本の現代アートシーンは、著作権ビジネスに大きくすり寄っていった。前回の出品から、その後著作権に関わるさらなる問題提起を続ける岡本が再び「ドザ」の新作を制作してくれたことが嬉しい。さらに、この17年の間にキャラクタービジネスも目覚しい商業偏重化を遂げた。
その「権化」を再び選び、「遺体」を制作した彼はまさに皮肉や風刺を好んだ藤子・F・不二雄の後継世代といえるだろう。国民的キャラクターと、最先端の現代アートとの「真」なるコラボレーションに、多くの観客が瞠目するにちがいない。