2017年11月24日 10:23 弁護士ドットコム
お金を貸してくれた人から「返済しないんだったら、詐欺罪で告訴するぞ」と言われた。訴えられたらどうすればいいのかーー。インターネットのQ&Aサイトに、このような相談が寄せられていた。相談者は、借りたお金を返済するつもりであり、「待ってほしい」とも伝えるなど、連絡をとりあえる状態だ。お金の貸し借りは「口約束」で、借用書は作っていない。
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このような場合でも、返済しないと「詐欺罪」になる可能性があるのでしょうか。また、貸した人が「詐欺罪として訴えるぞ」という「脅し」のような言動をすることは、許されるのでしょうか。橋本有輝弁護士に聞きました。
「今回のようなケースで詐欺罪が成立するには、相談者がお金を借りる際に『詐欺罪の故意』が存在する必要があります。簡単に言えば、『嘘を言う』ことを認識していれば詐欺罪は成立します。
つまり、相談者がお金を返すつもりがないのに『お金は必ず返す』と貸主に嘘を言い、『相談者はお金を返してくれるんだ』と誤解させることを認識していたか否かが問題となります。
今回のケースでは、相談者がお金を借りる際には、お金を返済するつもりだったでしょうから、『嘘を言う』認識がない、つまり、詐欺罪の故意が存在しないものとして、詐欺罪は成立しません」
返済する意思がある人に「詐欺罪で告訴するぞ」と言う行為に問題はないのだろうか。
「貸主が『詐欺罪で告訴するぞ』と言うことは、相談者からすれば『脅し』のように感じたことでしょう。しかし、相談者がお金を借りて返していないことは事実なのですから、貸主は、ある意味では、法律上正当な権利を主張しているとも言えます。
このような場合には、返済を迫る方法が『社会通念上一般に忍容すべき程度(範囲内)である』か否かで違法な行為か否かが判断されます。『告訴するぞ』と言うことは法律に従った手続きを採ると言っているだけですから、これだけで違法と判断されることはないでしょう」
【取材協力弁護士】
橋本 有輝(はしもと・ゆうき)弁護士
兵庫県川西市及び大阪市北区芝田町において、弁護士7名の事務所を経営する。破産、個人再生等の債務整理案件、交通事故、離婚、相続等幅広い事件を取り扱う。平成28年4月に離婚・不貞慰謝料を専門的に取り扱う法律事務所(弁護士‐慰謝料・大阪.com)をJR大阪駅、阪急梅田駅徒歩圏内に立ち上げた。
事務所名:弁護士法人H&パートナーズ 川西池田法律事務所
事務所URL:http://www.k-i-law.jp/