2017年11月24日 10:23 弁護士ドットコム
居酒屋でお酒を飲みすぎて、気持ち悪くなってしまった・・・。このような経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。しかし、ギリギリまで吐き気を我慢していると、そのまま床に吐いてしまうなどの不運に見舞われることもあります。
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もし、異性用のトイレが空いていたとき、使うことはできないのでしょうか。また、店がトイレを使わせずに、仕方なく床に吐いて他の客の靴などを汚してしまった場合、店に責任を負わせることはできないのでしょうか。尾崎博彦弁護士に聞きました。
「場合によっては、住居(建造物)侵入罪が成立する可能性もあります。『住居侵入』というのは、管理者の承諾がない場所に立ち入ることです。
男性客が居酒屋の女性用トイレに入ることを、管理者は通常承諾していませんから、『侵入』はあったと言えるでしょう」
吐きそうな場合でもダメなのでしょうか。
「刑法でも『自己または他人の生命、身体、自由または財産に対する現在の危難を避けるため』には『緊急避難』が認められているので、『やむを得ない』と言いたいところです。
ただし、今回のようなケースが緊急避難に該当するかは疑問です。実質的には、トイレに立ち入った動機や立ち入った際のふるまい、立ち入った時間(用を足したらすぐに退去したか)などを考慮して、犯罪不成立とされる、もしくは罪がきわめて軽微であるとして、不問に付されることが多いのではないでしょうか」
では、もし異性用のトイレに入ることを店に止められて、床にあった他の客の靴に吐いてしまったような場合、店の責任を問えないのでしょうか。
「トイレに入れなくてもそれなりの方法で吐くこともできましょう。結局吐くまで飲んだこと自体はその方の責任と言わざるを得ません。従って、店の判断としてトイレに入ることを止められたとしても、通常はそれが違法とは言えませんので、店の責任を問うことは困難だと考えられます」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
尾崎 博彦(おざき・ひろひこ)弁護士
大阪弁護士会消費者保護委員会 委員、同高齢者・障害者総合支援センター運営委員会 委員、同民法改正問題特別委員会 委員
事務所名:尾崎法律事務所
事務所URL:http://ozaki-lawoffice.jp/