11月23日に東京都内で行われたトヨタのWRC世界ラリー選手権2017年シーズン報告会に、2018年からチームに加入するオット・タナクとコドライバーのマルティン・ヤルベオヤがサプライズで登場。会場に集ったファンを沸かせた。
2017年、18年ぶりにWRCへ復帰参戦したTOYOTA GAZOO Racing WRT。復帰初年度はシーズン2勝を含む計5回の表彰台を獲得し、チームランキング3位、ドライバーズランキングではエースのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が4位につけた。
そんなチームに新たに加入するのが、エストニア出身で現在30歳のタナク。これまでMスポーツからWRCに参戦して速さを発揮してきた若手ドライバーだ。
タナクは2017年、第7戦イタリア・サルディニアで自身初のWRC総合優勝を飾ると、第10戦ドイチェランドも制覇。11月16~19日に行われた第13戦オーストラリアでは総合2位表彰台を手にしてドライバーズランキング3位を獲得している。
また、タナクとヤルベオヤのふたりは、ファン投票で選ばれる2017年の『ベスト・ドライバー・オブ・ザ・イヤー』、『ベスト・コドライバー・オブ・ザ・イヤー』を獲得しており、ファンからの支持も厚いコンビだ。
そのタナクは、23日(木)のシーズン報告会で、会場に集ったファンとハイタッチを交えながらサプライズで登場。トヨタ加入の経緯について「新しいチームに参加できてうれしい。チーム加入については(チーム代表の)トミと長いこと話し合いをしてきた」と語った。
「将来、自分がシリーズチャンピオン争いができるよう、より強いチームへ加わりたいと思っていた。TOYOTA GAZOO Racing WRTは今年、素晴らしい走りで、僕たちを含め多くの人を驚かせた。だから、今回の加入を決めたんだ」
「2018年、勝利とシリーズチャンピオンを目指して戦っていくよ」
■豊田章男社長からタナクにシュノーケルのプレゼント
このタナクが多くのラリーファンに強い印象を残したのが、2015年の第3戦メキシコで起こした湖への転落事件、通称”タイタナック”だ。
タナクはラリー・メキシコの競技序盤にコースアウト。この際、コースオフしたマシンは崖を転がり落ちながら、コース脇の湖へ転落してしまった。
幸い、タナクとヤルベオヤは無事に脱出。また湖底に沈んだマシンも引き上げられたのち、メカニックによる修復作業を経て、競技に復帰した。
この一連の出来事を、ファンはタイタニック号になぞらえ、”タイタナック”と呼び、タナク自身はラリー・メキシコのフィニッシュでシュノーケルをつけてマシンから登場するといったサービスをみせた。
今回の報告会では、このタイタナック事件がダイジェストで紹介されると、トヨタ自動車の豊田章男社長からサプライズとして、タナクにTOYOTA GAZOO Racingの特製シュノーケルがプレゼントが。
これに思わず笑みをこぼしたタナクは「(自身がWRC初優勝を遂げた)イタリア・サルディニアでは、優勝した後に海へ飛び込む習わしがあるから、そのときに使いたい」とコメント。
すると、チーム代表のトミ・マキネンは「そのシュノーケルを付ける前に、海に落としてやる」と冗談交じりに応じ、タナクが2018年シーズン開幕前からすでにチームに馴染んでいる様子を伺わせた。
2018年、トヨタはベテランのヤリ-マティ・ラトバラに加え、若手のエサペッカ・ラッピ、そして勢いに乗り、ファンからの人気も高いタナクという3名体制でシリーズチャンピオン獲得を目指す。