通勤総合研究所は11月20日、「通勤時間と決済」をテーマにした調査結果を発表した。調査は今年10月にインターネットで実施し、一都三県在住で日常的に電車通勤をする20~50代の有職者800人から回答を得た。
通勤者の平均通勤時間は58.8分で、乗り換え回数は1.1回。通勤距離は25.8キロメートルでこの距離はJR中央線で新宿駅から国立~立川駅間程度となる。
平均的な通勤形態は、立っている時間16.7分、立っている時間22.9分、歩いている時間19.2分。定期券1か月分の平均額は1万5170.8円となった。
通勤電車、スマホでニュースやSNSをチェックが7割
通勤で電車に乗っている間、何をしているかを聞くと、1位は「スマートフォンを操作している」(72.0%)だった。そのうち7割は「ニュースサイトのチェック」(70.0%)、「SNSのチェック」(66.8%)をしている。次いで「ネットサーフィン」(32.5%)、「ゲーム」(29.9%)と続いた。
2位は「考えごとをしている」(35.6%)で、以降は「寝ている」(32.6%)、「音楽を聴いている」(32.1%)、「ボーっとしている」(28.3%)、「本/新聞を読んでいる」(24.3%)、「広告などを見ている」(13.5%)となった。「勉強をしている」は9.6%だけだった。
「通勤時間をもっと効率的に使いたいと考えているか」と聞くと、「思う」(39.5%)と「まあまあ思う」(39.9%)の合計が79.4%となった。
「モバイル定期」利用者は、「ICカード定期」より年間チャージ額が6万高い
利用定期券は「ICカード定期」(85.1%)が、スマートフォンに連動している「モバイル定期」(10.8%)を大きく上回っている。同社はこの2種類の定期利用者について11月に追加調査を行い、600人から回答を得た。
種類別に「一度のチャージ金額」を見ると、モバイル定期券利用者(3303.3円)がICカード定期券利用者(2403.3円)を900円上回った。
他にも「年間チャージ回数」(モバイル:39.9回、ICカード:30.6回)、「年間の買い物回数」(97.1回、63.7回)もモバイル定期利用者が上回っている。「年間チャージ金額合算」もモバイル定期利用者が13万1869.1円、ICカード定期利用者が7万3542.0円と、差額は5万8327.1円となった。
しかし仕事のモチベーションを比較すると、「出社時の仕事に対するモチベーション」はモバイル定期利用者が10点満点中5.1点で、ICカード定期利用者は4.5点となった。年収についても10月実施の調査によると、モバイル定期利用者(621.0万円)がIC定期利用者(546.0万円)を75万円上回っていることが分かった。
スマホを効率的に利用している人は生産性が高い?
これらの調査結果について、はたらく未来研究所の岩崎寿次理事は、各企業が「働き方改革」に取り組み初めているが、「働く場所に向かう『通勤』への対策はまだ遅れていると言わざるを得ません」とプレスリリースにコメントを寄せている。
「(今回の調査で)『スマートフォンというデバイスを効率的に利用している人はモチベーション高い』との結果が現れています。また年収比較のデータを読み取ると『スマートフォンを効率的に利用している人は、生産性が高い人材が多い』ということが言えるでしょう」
また調査結果からICカード定期利用者は年間94.6分を定期決済などに費やしていることを挙げ、「間違いなくモバイル定期券の利用促進は、通勤における働き方改革のひとつの選択肢といえるでしょう」としている。