映画『007』シリーズに登場する“ボンドカー”として広く知られる『DB5』や『DBS』などを輩出したイギリスの老舗ブランド、アストンマーチンは11月21日、スポーツクーペ『バンテージ』の新型モデルを発表した。
創業100年を数えるアストンマーチンの長い歴史のなかで過去70年にわたって世代交代を繰り返しながら、高いマシンパフォーマンスと大胆で独自色の強いデザインによって人気を博してきたバンテージ。
今回発表された新型にもその系譜が受け継がれ、なかでもまったく新しいデザインとなったLEDヘッドライトとテールライトによって形成されるライト・シグネチャーは新型バンテージのアイコンとして存在感を放っている。
短い前後オーバーハングと筋肉質のプロポーションが与えられたエクステリアデザインは、スポーツカーの性能に直結するエアロダイナミクスをもっとも重要視した開発が行われ、バーチカルフィンが備えられた巨大なリヤディフューザーがそれを物語っている。
また、ボディデザインではディフューザーが収まる車両最後端が大きく跳ね上がる形状となったほか、1958年製の『DB4』から脈々と受け継がれてきたアストンマーチンのアイデンティティのひとつであった“サイド・ストレーキ”がサイド・ジル(エラ状の窪み)に置き換えられた。
このサイド・ジルはフロントタイヤハウス内の圧力を下げ、クルマの浮き上がりを低減させる効果をもたらすという。
新型バンテージの心臓部であるパワートレインには最大出力510PS、最大トルク685Nmを発揮する4.0リッターV8ツインターボエンジンを採用。自然吸気エンジンに別れを告げた新型モデルの最高速は314km/hに達する。
バンテージは上級モデルである『DB11』にもラインアップされているオールアロイ製エンジンをフロントミッドに搭載することに加え、ZF製8速オートマチックトランスミッションをリヤにマウントすることで50:50という理想的な前後重量配分を達成。車両乾燥重量は1530kgで先代モデルから18kgの軽量化を実現させている。
また、スポーツ性能を追求した新型モデルは今回、アストンマーティン車として初めて、エレクトロニック・リヤ・ディファレンシャルを搭載した。
フルオープンからフルロックまで、一瞬のうちにディファレンシャルの働きを制御することが可能となるこのシステムは、車載の電子スタビリティコントロール・システムと連携して作動し、クルマの動きをモニタリングしながら、エンジンパワーが必要なホイールに適切に配分されるよう、状況に対応した制御が行われる。
ドライバーは電子デフの反応時間の短さと高い感度により、かつてない精度でクルマの挙動をコントロールすることが可能になるという。
インテリアは外観のアグレッシブなキャラクターを反映するデザインが反映され、センターコンソールやダッシュオードなどではダイナミックでスポーツカーらしいシャープなラインが多用された。
各種スイッチ類には操作性に優れるロータリーボタンとトグルスイッチを用いたほか、エンジンスタートボタン、トランスミッションのP、R、N、Dボタンを一定のエリア内に集約。シートポジションは従来より10mm低くマウントし、ドライバーがドライビングに集中できるコクピットとなっている。
2005年以来12年ぶりのフルモデルチェンジを受けた新型『バンテージ』は2018年第2四半期にデリバリー開始予定。価格は1980万円(税抜)からとなる。