省庁職員の長時間労働につながるとして度々問題になっている「国会待機」だが、議員が質問を出す時間はなかなか早くならないようだ。公明党のいさ進一衆議院議員(42)は11月20日、
「例えば先日の文科委、野党の質問通告は明け方5時。それまで省庁は徹夜で待機です。本日の本会議、希望の党の質問通告はなんと、今日午前11時25分」
とツイッターで報告した。20日には13時から衆院本会議で代表質問が行われたが、希望の党の質問通告が午前11時過ぎだったというのだ。野党の質問通告のあまりの遅さに、「これで働き方改革や国会改革を語る資格はありません」と批判していた。
党によって「前日の何時までに出す」という努力義務が設けられているが……
国会開会中、各省庁の職員は、議員から質問の通告を受けると、大臣が答弁に使う資料を作成する。議員からの質問通告が遅くなれば、対応する職員の勤務時間も遅くなる。
質問を出す時間に締め切りはないのか。キャリコネニュースが、厚生労働省総務課の担当者に確認したところ、
「党によって『前日の何時までに出す』といった努力義務が設けられています。しかし実際に質問が出される時間は、議員によって異なります」
と話した。
議員の質問通告が遅れ、職員の残業が長引くことも珍しくないようだ。口コミサイト「キャリコネ」には、職員からの悲鳴がいくつも寄せられていた。
「国会待機により、深夜4時ごろまで残業することが1年の間に数回あった」(厚生労働 20代前半 男性)
「翌日の国会での質問事項が国会議員から前夜遅く(もちろん営業時間外)に送付されてくるので、そこから国会答弁を作成し(総理や各大臣のアンチョコです)、上司数名に上げ、関係各省と協議し…というプロセスを1問1問につき行うため、連日朝の2時、3時頃タクシーで帰宅する日々が続く」(厚生労働省 20代後半 女性)
「平日の残業も急な国会対応により突然決まることがあり、計画的に仕事を進めていたとしても平日夜に予定を入れるのは困難がともなう」(国土交通省 30代前半 男性)
「本省勤務では、残業のある部署とない部署が極端に分かれ、残業の多い部署では特に国会会期中が多忙である」(外務省 30前半 男性)
質問通告が出揃うのが24時30分、担当部署が決まるのが午前3時になることも
2016年6月に内閣人事局が発表した「国会に関する業務の調査」によると、全ての議員からの質問通告が出揃うのは、平均で20時41分だった。そこから通告を受けた質問について担当課室の割り振りが確定するのが平均で22時40分だという。
ただし、最も遅い場合には、それぞれ24時30分と27時(午前3時)となることがあったという。午前3時に割り振りが確定してから作業をするとなれば、徹夜の作業は免れないだろう。
問題は、答弁作成者が遅くまで残らされるだけではない。質問が出るまでは、答弁の作成をどの部署が担当するかわからないため、多くの職員が待機していなければならないのだ。勤務終了時刻の18時15分に、質問通告が出揃っていなければ、全ての局が待機する省庁が17省中10省あった。