NASCAR:TOYOTA GAZOO Racing 2017第36戦ホームステッド レースレポート モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第36戦ホームステッド
マーティン・トゥルーエクスJr.がチャンピオン獲得!
トヨタはカップとトラックでタイトル制覇
長いNASCARシーズンを締めくくる最終戦がフロリダ・ホームステッドで開催。カップ・シリーズではマーティン・トゥルーエクスJr.がカイル・ブッシュの猛追を振り切って勝利を挙げ、悲願のシリーズチャンピオンを獲得。トヨタはマニュファクチャラーズタイトルと共に2度目のタイトル制覇となった。
エクスフィニティ・シリーズではオーナータイトルを目指し戦ったがライアン・プリースが5位に終わり惜しくもタイトル獲得はならず。トラック・シリーズではクリストファー・ベルがタイトルを争う4人の中で最上位となる2位でフィニッシュし、チャンピオンを獲得。トラック・シリーズもドライバーズとマニュファクチャラーズをトヨタが制した。
Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第36戦 Ford EcoBoost 400
開催日:11月19日
マーティン・トゥルーエクスJr.がチャンピオン獲得!
トヨタはドライバー&マニュファクチャラーで2度目の戴冠
11月19日(日)、米国南東部フロリダ州ホームステッドのホームステッド・マイアミ・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第36戦『Ford EcoBoost 400』が開催された。
全36戦という長いスケジュールで戦われてきたNASCARのシーズンもいよいよ最終戦を迎えた。終盤上位ドライバーによりタイトルを争うプレーオフも最後の4人チャンピオンシップ4に絞られ、この最終戦に臨むにあたってこの4人のポイントは5000点にリセット。
この4人のみステージポイント等のボーナスは与えられず、4人のうち最上位でフィニッシュしたものがチャンピオンとなる。
トヨタ勢ではこの4人の中に、今季最多の7勝を上げているマーティン・トゥルーエクスJr.、そして5勝のカイル・ブッシュが入っている。2015年にトヨタに初のタイトルをもたらしたカイル・ブッシュか、今年圧倒的な強さを見せるトゥルーエクスJr.か、トヨタにとって2度目となるタイトル獲得に期待がかかった。
19日(日)午後3時15分、1.5マイルオーバルを80周、80周、107周の3ステージ合計267周(400.5マイル:約640km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。前日18日(土)に37歳の誕生日を迎えたデニー・ハムリンが今季2度目のポールポジションを獲得したが、最前列2番手スタートのトゥルーエクスJr.がすぐに首位を奪取。
一方で3番手スタートのカイル・ブッシュはハンドリングに苦しみ、ポジションダウン。しかし、カイル・ブッシュは中盤のグリーンフラッグピットのあと徐々にポジションを取り戻し、トップ5圏内へ復帰。ステージ1はチャンピオンシップ4の4人が2-5位を占め、カイル・ブッシュは3位、トゥルーエクスJr.は5位となった。
ステージ2もタイトルを争う4人が2-5位を占め、激しい順位争いを展開。サイド・バイ・サイド、テール・トゥ・ノーズで目まぐるしく順位が入れ替わった。113周目にはカイル・ブッシュがこの4人の最上位、2位に浮上。
しかし、122周目、グリーンフラッグピットに向かおうとしたカイル・ブッシュはピットロード入り口でタイミングをミスし、激しく白煙を上げながらかろうじてピットへ。また、翌周ピットへ向かったトゥルーエクスJr.も左リアタイヤの交換作業で手間取りタイムロス。それぞれ3位、8位へとポジションを落としてしまった。
しかしそこから2台の猛烈な追い上げが始まり、カイル・ブッシュはまもなく2位へ浮上、トゥルーエクスJr.も4位へ。ステージ2の残り20周を切ったところでコーションが出されると、全車ピットへ向かい、カイル・ブッシュ3位、トゥルーエクスJr.4位で再スタート。
好ダッシュを決めたトゥルーエクスJr.が2位へジャンプアップし、ステージ2を2位で終えた。カイル・ブッシュは4位。
ステージ3開始前のコーション時ピットでは、素早いピット作業に助けられトゥルーエクスJr.が首位、カイル・ブッシュが2位へとポジションアップ。再スタート後はこの2台による首位争いとなった。
序盤首位を逃げるトゥルーエクスJr.について行ったカイル・ブッシュは、175周目にパス。これをトゥルーエクスJr.も抜き返し、激しい首位争いが展開されたが、この日ロングランで強さを見せたカイル・ブッシュが178周目に首位に立つと、その後は2位との差を広げていった。
ステージ3はピット戦略が分かれた。トゥルーエクスJr.を含むチャンピオンシップ4のうち3人は200周を目前に、残り70周を切ったところでグリーンフラッグピット。しかし、カイル・ブッシュはこのピットを遅らせ、ステージ3を1回のみのピットインで走り切る作戦に出た。
カイル・ブッシュが216周目にグリーン下でピットに向かい、コースに戻った時点で6位。首位のトゥルーエクスJr.を含む上位勢はもう一度のピットインが必要という状況。カイル・ブッシュは更に前車をパスしていき4位へ。
しかし、228周目に、ピットインが必要なグループに有利なイエローコーションが発生した。これで全車ピットへ向かい、トゥルーエクスJr.が首位、カイル・ブッシュ3位で残り34周での再スタート。
トゥルーエクスJr.はチャンピオンシップ4を争うケヴィン・ハーヴィック(フォード)からの追撃を何とか凌ぎ切り首位をキープ。一方でカイル・ブッシュは再スタートで5位に後退し、ポジション回復に苦戦。242周目にようやく3位へとポジションを上げ、チャンピオンシップ4の3人によるトップ3争いとなった。
トップから2秒以上の差があったカイル・ブッシュは、好調なロングランでの速さを活かしじりじりとその差を詰め、249周目に2位へ。この時点で首位のトゥルーエクスJr.との差は1.32秒。トヨタ同士のタイトル争いとなった。
更に差を詰めていったカイル・ブッシュに対し、首位のトゥルーエクスJr.は周回遅れに遭遇。2台は混雑するコース上をかいくぐりながら、僅差での息を呑むようなバトルを続けた。
残り5周になると、この日の前半戦を支配していたカイル・ラーソン(シボレー)がカイル・ブッシュの後方で猛追。これに助けられる形でトゥルーエクスJr.は首位を逃げ切り、トップでチェッカー。今季8勝目を挙げ、自身初、トヨタにとっては2度目となるドライバーズチャンピオンに輝いた。
今季前半戦は苦戦したトヨタ勢だったが、後半の19戦中14勝(全36戦中16勝)という圧倒的な追い上げで、トヨタは2度目となるマニュファクチャラーズタイトルも獲得。ドライバーズ、オーナーズ(トゥルーエクスJr.の78号車)、マニュファクチャラーズの3冠に加え、エリック・ジョーンズがダニエル・スアレツと争っていたルーキータイトルも獲得し、タイトルを独占した。
これで2017年シーズンの全日程は終了。来季2018年シーズンは2月18日(日)、米国南東部フロリダ州デイトナビーチのデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われる『デイトナ500』で幕を開ける。
ドライバー マーティン・トゥルーエクスJr.
「信じられない。首位に立てたことも、それをキープ出来たことも。今日の我々のトヨタ・カムリは最速の車両ではなかった。4号車(ケヴィン・ハーヴィック:フォード)や18号車(カイル・ブッシュ)はロングランや、それ以外でも我々より速かった」
「最後勝つためには何かが必要だったと思うが、幸運にも素晴らしいトヨタ・カムリと共に勝利へのラインを走り抜けることが出来た。夢のような1年だった。我がチームは世界一だ。彼らと、トヨタ、TRD-USA、全ての人々に感謝する。このシーズン最終戦をトヨタの1-2で飾れたのも最高だ」
NASCAR XFINITY SERIES
第33戦 Ford EcoBoost 300
開催日:11月18日
2台のトヨタ・カムリがトップ10フィニッシュ
逆転オーナータイトルは惜しくも叶わず
11月18日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第33戦『Ford EcoBoost 300』がホームステッド・マイアミ・スピードウェイで開催された。
シリーズタイトルを争うプレーオフも最後の4名による最終ラウンドを迎えた。エクスフィニティ・シリーズでのトヨタ勢は、第2ラウンドの8名までは残ったルーキーのマット・ティフトが前戦惜しくも脱落しトップ4入りはならず。
ドライバーズタイトル争いからは脱落したが、他シリーズドライバーによる掛け持ち参戦の多いエクスフィニティ・シリーズでは、ドライバーズとは別にオーナーポイントによるプレーオフ争いが全く違う顔ぶれで繰り広げられており、トヨタ勢では18号車と20号車が最後の4台に残り、今大会でタイトルを争うこととなった。
この18号車と20号車は、今季これまで3戦のみのスポット参戦ながら、第19戦アイオワで自身初勝利を挙げ、残りも全てトップ5フィニッシュと速さを見せているライアン・プリースと、前日のトラック・シリーズでチャンピオンを獲得したクリストファー・ベルがドライブすることとなった。
18日(土)午後3時50分に1.5マイルオーバルを45周、45周、110周の3ステージ合計200周(300マイル:約480km)して競われる決勝レースがスタート。ベルが3番手、プリース5番手、ティフト10番手でのスタートとなったが、ハンドリングに苦しむベルをプリースがかわし、ステージ1はプリースが5位フィニッシュ。
ステージ2はピットでポジションを上げたプリースがトップ5圏内をキープし、4位でフィニッシュ。ベルは78周目に突然のエンジントラブルに見舞われ、レースを終えることとなってしまった。
ステージ3は、6位で再スタートしたプリースがじりじりとポジションを上げ、3位へ浮上。しかし、オーナーポイントを争う22号車が前を走行しており、これをかわさなくては逆転タイトルはならない状況に。
懸命に前を追うプリースだったが、残り5周というところでドライバーズタイトルを争う他の車両が後方からプリースの車両に接触。バランスを崩しかけたプリースだったが、見事な車両コントロールで何とかスピンは回避し、レースを続行して5位でフィニッシュ。今季出場した4戦前戦でのトップ5フィニッシュを果たしたが、惜しくもオーナーポイントでの逆転タイトル獲得はならなかった。
ティフトも後半着実な追い上げを見せて7位でフィニッシュ。シリーズ7位でルーキーシーズンを終えた。
これで今季のエクスフィニティ・シリーズは全日程が終了。来季2018年シーズンは2月17日(土)にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで幕を開ける。
ドライバー ライアン・プリース
「私はオーナーズタイトル獲得のためにこのレースに出場し、戦ったが、残念ながらそれは叶わなかった。とはいえ今日レースに出場する機会を与えてくれたチーム、スポンサー、トヨタや関係者に感謝したい。(トヨタからエクスフィニティ・シリーズ出場が決まっている)2018年が楽しみだ」
NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第23戦 Ford EcoBoost 200
開催日:11月17日
クリストファー・ベルがチャンピオン獲得!
NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第23戦『Ford EcoBoost 200』が11月17日(金)にホームステッド・マイアミ・スピードウェイで開催された。
この週末は3カテゴリー全てで、最後に残った4人がタイトルを争うプレーオフ最終ラウンドが行われるが、その先陣を切る形でトラック・シリーズのレースが行われた。
同シリーズでは、今季最多の5勝を上げている22歳のクリストファー・ベルと、過去に2回シリーズチャンピオンを獲得しているベテランのマット・クラフトンの2名がトヨタ勢としてこのチャンピオンシップ4の4名に残っており、タイトルを目指し今大会に臨んだ。
17日(金)午後8時21分、1.5マイルオーバルを40周、40周、54周の3ステージ合計134周(201マイル:約320km)して競われる決勝レースがスタート。8番手スタートのクラフトンがトップ5へ浮上するが、13番手スタートのベルが目覚ましい追い上げを見せ、19周目にはクラフトンもかわして3位へ。
タイトルを争う4名の中では最上位に浮上したが、その勢いは止まらず、34周目には首位を奪取し、そのままステージ1を制覇した。クラフトンはステージ後半ハンドリングに苦しみ、7位となった。
ステージ2は、前戦惜しくもプレーオフ争いから脱落したベン・ローズが3ワイドバトルから飛びだして首位を快走。その後方で、ベルがタイトルを争うライバルとの2位争いを繰り広げたが、これを制し、ローズに続く2位でステージ2をフィニッシュ。クラフトンは8位。
ステージ3はローズが首位争いを繰り広げる後方で、3位以下にチャンピオンシップ4の4台が連なる形となり、これを引っ張るベルがサイド・バイ・サイドで再び激しいタイトル争いを展開。
このバトルも何とか抑えきってチャンピオンシップ4最上位の3位をキープしたベルは、その後もイエロコーションが出ないまま推移する中、後続との差を広げていった。
レースは残り5周というところで、2位で首位を追っていたローズがまさかの燃料切れ。これで2位に上がったベルがその順位でチェッカーを受け、今季のシリーズチャンピオンを獲得することとなった。ベルは来シーズン、トヨタ・カムリでエクスフィニティ・シリーズにフル参戦することが決定している。
カイル・ブッシュがチームオーナーとして参戦するベルの4号車はオーナーポイントでもチャンピオンに。また、トヨタはマニュファクチャラーでもチャンピオンを獲得。トヨタのトラック・シリーズにおけるマニュファクチャラーズタイトルは今年で5年連続となり、参戦以来14年間で10度目。ドライバーズタイトルは7度目の獲得となった。
これで今季のトラック・シリーズは全日程が終了。来季2018年シーズンは2月16日(金)にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで幕を開ける。
ドライバー クリストファー・ベル
「夢が叶ったと言うだけでは足りない。私がトラック・シリーズを戦い始めたときからずっと一緒に戦ってきたKBM(カイル・ブッシュ・モータースポーツ)でチャンピオンになれて、本当に誇らしく思う。ずっと支えてくれたスポンサーやチームクルーと共にこのチャンピオンシップステージに立つことが出来て最高の気分だ」
「昨年は序盤から中盤にかけて苦しんだが、自分を信じて戦ってきた。本当にほっとしている。今日は私のこれからの人生において大切な一ページになるだろう。素晴らしいトヨタ・タンドラを用意してくれたトヨタ、TRD-USA、そしてチームクルーの全員に感謝したい」