F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねる連載企画。ブラジルGPには普段のパドックでは見かけない人たちが多く駆けつけた。その中の数名をご紹介しよう。
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週末は毎日のように強盗事件に見舞われていた今年のブラジルGPだが、インテルラゴスのサーキットの中は、普段見かけない人たちが駆けつけ、大いに賑わっていた。そのひとりが、クリス・ダイヤーだ。
2000年代にミハエル・シューマッハーのレースエンジニアとして活躍したダイヤーはその後、フェラーリでチーフエンジニアまで上り詰めたが、2010年の最終戦でタイトルを逃した責任を問われ、フェラーリを離脱。その後、DTMでBMWのエンジニアに就き、2016年からルノーに移籍し、F1に復帰した。
「いまの役職は、ヘッド・オブ・ビークルダイナミクス。シミュレーションモデルの開発をファクトリーで行うのが主な仕事なので、ほとんどサーキットには来ない。今年はスペインGP、イタリアGPとこのブラジルGPのみ。アブダビGPは行かないから、今年はこれが最後のレースだね」
続いては、ルーベンス・バリチェロ。サンパウロが地元のバリチェロだが、最近はほとんどF1を訪れることなく、久しぶりのブラジルGPとなった。
「インテルラゴスは地元だから、ちょっと寄ってみただけ」と言うバリチェロに、日曜日、大仕事が待っていた。それはフェリペ・マッサのために特別にFOMが設定した表彰台でのセレモニーでの司会者だった。
「レース中に、FOMのスタッフがやってきて、お願いされたんだ。久しぶりの表彰台だったよ(笑)」
今年で引退するマッサと、2008年のブラジルGPで激闘を演じたルイス・ハミルトンの元を、木曜日にあるブラジル人が訪れていた。ライ・コルダドさんだ。アイルトン・セナを尊敬するハミルトンは、今年のシーズン当初にブラジルGPでかぶる特別ヘルメット用のデザインをブラジル人に向けて募集していて、その当選者がコルダドさんだった。
木曜日にメルセデスのホスピタリハウスで授賞式があり、コルダドさんは招待されただけでなく、ハミルトンから同じデザインの本物の未使用ヘルメットをプレゼントされ、喜んでいた。
最後はバーニー・エクレストンだ。FOMのCEOを座を降りた今年は、めっきりグランプリに来る回数も減ったエクレストンだが、ブラジルは妻ファビアナ・フロシさんの母国ということもあり、2人そろってサーキットを訪れていた。
フロシさんといえば、昨年、母のアパレシーダ・シュンクさんがサンパウロで誘拐される事件に巻き込まれた経験を持つ。シュンクさんはすでに解放されたものの、サンパウロではいまなお誘拐や強盗が後を絶たない。
そのエクレストンとフロシさんがレーススタート前に立ち寄ったのが、メルセデスのエグゼクティブ・ディレクターを務めるトト・ウォルフだった。メルセデスもまた今年のブラジルGPでスタッフが拳銃を突きつけられるという被害に遭っていた。
2020年まで契約があるブラジルGPを存続させるためにも、主催者と地元警察には、さらなる警備体制の強化が求められる。