人手不足が叫ばれる中、企業の採用活動は厳しさを増している。マイナビは、国内企業を対象に「2018年卒採用の内定状況」と「2019年卒の採用の見通し」などを調査。11月8日に結果を発表した。
募集した数に対して実際に採用できた割合は、上場企業と非上場の企業では大きな差が出ていた。(文:okei)
10月時点でも半数以上が採用活動を継続・中途採用も行う
調査は9月から10月初旬にかけて実施。上場企業274社、非上場1964社、合わせて2238社からの回答をまとめた。
全体の採用充足率は、前年と比べて4.7ポイント減り83.0%。採用が難しい状況が続いているが、上場は(95.3%)、非上場(77.8%)を17.5ポイント上回っている。学生に有利な売り手市場ならば、大手に集まるのは当然の結果だろう。業界別で見ると、「金融」(98.0%)が一番高く、「サービス」「インフラ」は69.5%と、苦戦した様子だ。
また、「内定者数の不足(63.6%)」を理由に半数以上(51.7%)の企業が「採用を継続する」と回答している。「良い人材がいたら追加採用したいから」(37.1%)、「内々定辞退の補充」(20.7%)との理由を見ても、積極的に人材を補充したい姿勢がうかがえる。
しかも、予定数に未たない場合の対策として「中途等の即戦力で補充」が最多の54.0%を占め、転職を狙う社会人経験者にもチャンスが多い時期といえそうだ。
「採用難が続く」と見るも、およそ2割は「採用数を増やす」
「2019年卒の採用の見通し」を訊くと、7割以上が「厳しい」と回答。来年度も採用は厳しい状況が続くと予測している。
だが、厳しい状況の中でもさらに採用を増やす考えの企業は2割ほどある。2019年の採用数を「増やす」と答えた企業は前の年と比べて0.4pt減ったものの18.0%で、「減らす」(9.3%・前年比0.6pt減)を上回っている。同調査は
「2018年卒で目標に達しなかった分を、次年度で取り返そうという姿勢がうかがえる」
と分析している。
今年だめだった部分が「来年も厳しい」と予想するなかで補えるとは考えにくいが、ただ手をこまねいているわけではない。採用活動の一環として「インターンシップ(職場体験)」を実施する企業は56.7%と調査開始以来過去最高に。時期は2月が最多で、次に8月が多いという。
インターネットを利用し動画やオンラインで説明会を行う「WEBセミナー」の実施率は、全体で1割ほど。上場企業に限ると4社に1社が実施している。メリットとして「場所(距離)時間・会場のキャパシティを選ばない」ことがあげられ、地方の学生を採りたいなら必須になっていくのではないだろうか。
企業は社内の若返りも図っているのだろう、確実に採用への意欲が高まっている。なお、採用活動の終了時期(予定含む)は、6月~9月にかけてがピークで、「12月」と答えた企業も多いという。同調査では「今後活動を継続する企業は、年内に採用活動を終了することを視野に入れていると思われる」と補足している。採用側も年内が勝負のようだ。