トップへ

マカオFIA GTワールドカップ:モルタラのメルセデスが逃げ切り優勝を飾る

2017年11月19日 14:52  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

FIA GTワールドカップの決勝レースをリードするエドアルド・モルタラのメルセデス
第64回マカオグランプリは11月19日、ギア・サーキットでFIA GTワールドカップの決勝レースが行われ、ポールポジションからスタートしたエドアルド・モルタラ(メルセデスAMG・チームドライビングアカデミー)が優勝を飾った。

 前日行われた予選レースでは、オープニングラップにポリスで12台が巻き込まれる多重クラッシュが起きたFIA GTワールドカップ。多くのチームは深夜まで及ぶマシンの修復作業が行われ、クラッシュに巻き込まれたマシンのうち、ランガー・バン・デル・ザンデ(ホンダ・モーター)のホンダNSX GT3を含む6台が戦列に復帰。14台で決勝レースが行われた。

 ただ、この日のマカオは夜半から雨が降っており、朝の路面はウエット。直前に行われたWTCC世界ツーリングカー選手権のメインレースの間にかなり路面は乾いたが、スリッピーなコースとなっていた。

 WTCC同様セーフティカースタートとなった決勝は、スタートでポールスタートのモルタラがターン1でわずかにアウトにはらむも、トップをキープ。一方、アウグスト・ファーフス(BMWチーム・シュニッツァー)がリスボア・ベンドで2番手を守ろうとするも、ラファエル・マルチェッロ(メルセデスAMG・チームグループMレーシング)がヒット。ファーフスは姿勢を乱してアウト側のバリアにわずかに当たってしまう。

 この攻防でマルチェッロが2番手、ファーフスが3番手となるが、その後マルチェッロはトラブルによりピットへ戻り、ファーフスがふたたび2番手へ。一方、後方ではダリル・オーヤン(クラフト・バンブー・レーシング)を先頭とした6番手争いが激化し、ニコ・ミューラー(アウディスポーツ・チームWRT)やダニエル・ジュンカデラ(メルセデスAMG・チームドライビングアカデミー)、そしてバン・デル・ザンデのNSX GT3を含むバトルが展開された。

 このレースは序盤クラッシュなく進んでいくが、6周目、ルーカス・ディ・グラッシ(HCB-ルトロニック・レーシング)のアウディR8 LMSがマタニティ・ベンドでクラッシュ。セーフティカーが提示される。そしてこのタイミングで、マルチェッロとの接触でトランク部分のカウルが外れかかっていたファーフスに、オレンジディスクが提示された。チーム・シュニッツァーはBMW M6 GT3のカウルをはぎ取っただけでコースに送り出すが、最後尾となってしまった。

 これでリスタート後、上位陣はモルタラ、ロビン・フラインス(アウディスポーツ・チームWRT)、チャズ・モスタート(FIST-チームAAI)、マーロ・エンゲル(メルセデスAMG・チームグループMレーシング)、オーヤンというトップ5に変化。10周目にリスタートが切られた。

 リスタート後、リスボアではエンゲルがモスタートをアウトからパス。一方、オーヤンにはジュンカデラが襲いかかるがこれは抜けず、逆にジュンカデラはミューラー、バン・デル・ザンデのNSX GT3にパスされる。しかし、その直後のサンフランシスコ・ベンドでオーヤン、バン・デル・ザンデ、ジュンカデラは接触があったか、オーヤンがコース上にストップ。ジュンカデラとバン・デル・ザンデはマシンを破損しピットイン。これでふたたびセーフティカーとなった。

 12周目にリスタートとなるが、モルタラの後方でフラインスとエンゲルのバトルが激化。しかも、そこにリスタート周にマルコ・ウィットマン(FIST-チームAAI)やモスタートと、同じBMWを相次いでパスし順位をリカバリーしてきたファーフスが接近する。

 ただ、ファーフスの追撃も終盤にはにぶり、トップ5はそのままの順位でチェッカー。モルタラが3回目のFIA GTワールドカップで優勝を飾った。メルセデスは2015年以来の2勝目となる。2位はフラインス、3位はエンゲルという結果に。4位ファーフス、5位モスタートとなった。

「予選からプッシュしすぎないように気をつけなければならなかったし、終盤は後方からも迫られ、ポジションを守るのは大変だった。そして、僕がメルセデスに移籍してから初めての大きなタイトルだ。この勝利には大きな意味があるよ」とモルタラ。

 吉本大樹(ハブオート・レーシング)は、土曜午前のクラッシュからマシンを修復していたが、「ずっとクルマがどこかおかしい」と予選レースからペースを上げられない状態が続いていた。決勝でも他車に対し防戦一方になってしまい、完走して9位となったものの、悔しいレースとなった。