メルセデスF1チームのノンエグゼクティブチェアマンであるニキ・ラウダは、シーズンを通して今季型マシンW08にはパフォーマンスの波があるが、その根本要因は、長いホイールベースではなく、マシンのエアロダイナミクスの面にあったと考えている。
今年のメルセデスはマシンのパフォーマンスに好不調の波があり、主にシーズン前半はそれが成績にも影響してライバルのフェラーリを優位に立たせた。
W08はシルバーストンやモンツァのような高速サーキットでは卓越した性能を発揮した一方、モナコやハンガリーのようなタイトなコースではその気まぐれな性質がはっきりと表れ、低迷した。その結果、パフォーマンスがばらつく根本的な原因は平均よりも長いマシンのホイールベースにあるという指摘を多く受けることとなった。
しかしラウダはそういう見方を否定している。
「これまで長さが問題になったことはない。問題はエアロダイナミクスだ」とラウダはイタリアのGazzetta dello Sport紙に対して語った。
「マシンが素晴らしい動きをしたことは何度もあった。一方でそうでもないこともあった」
「我々はそれについてまだ完全には解明できていない。それこそが2018年に向けて改善すべき点だ。ルール改定がないので、作業の出発点としては楽だし、いくつかの問題点を解決することがより容易になるといえる」
今シーズンのメルセデスとルイス・ハミルトンは、最終的にはスクーデリア・フェラーリとセバスチャン・ベッテルに打ち勝ち、メキシコGPでハミルトンは自身4度目のドライバーズタイトルを確定した。メルセデス・モータースポーツのボスであるトト・ウォルフもラウダ同様、“ディーバ”と呼ぶ今季マシンの気難しさは、ホイールベースの長さとは関係ないと主張した。
ウォルフはまた、メルセデスの2018年型マシンの開発作業は本格化しており、W08の良さを保ちつつ弱点を取り除くことに集中しているとも語っている。
「今シーズン、比較的苦労したレースにおいて見られた特性は、何ひとつ長いホイールベースとは関連性がないと、我々は考えている。レッドブルにもフェラーリにも好調の日と不調の日がある」
「この“ディーバ”の特性のうち、好ましい部分は維持していきたい。ただ、若干の難点は取り除きたいと思っている」
「すべてのチームに目を向けると、マシンの調子が日によって異なる理由を解明することに苦労しているチームは多い。ライバルたちもそうであるのを見てきた」
「今はマシン開発のプロセスにおいて、今年自分たちが苦戦する根本要因を突き止め、来年のマシンではそれを除去しようとしている段階だ。当然、我々のマシン設計作業はかなり進んでいると言える」