職場のハラスメントの多くは、上司や先輩から行われているようだ。連合が10月下旬に実施した「ハラスメントと暴力に関する実態調査」によると、約5割の人が自分の職場でハラスメント受けた・見聞きした経験があると回答していた。ハラスメントの内容はパワハラ、セクハラなど多岐にわたるが、どのハラスメントも上司・先輩から行われているのを見た割合がもっとも多かった。
「マタハラ」根深く未だ2割 LGBTへの嘲笑・揶揄「SOGIハラ」も散見
被害に遭った・見聞きしたハラスメントの内容は「パワハラなどの職場のいじめ・嫌がらせ」が45%で最も多く、「セクハラ」が41.4%で続いた。また、「ジェンダーハラスメント」が25.4%、「マタハラ」が21.4%、「ケアハラ」が19.8%、「SOGIハラスメント」が13.7%と、パワハラやセクハラ以外のハラスメントも存在していることが明らかになった。
「ケアハラ」は育児や介護中の社員に対し、「もう帰るの?」「そういう人は戦力にならないから」「いつからちゃんと働けるの」などの言葉を言ったり、仕事をさせない、あるいは過大な仕事を押し付けたりする行為。「SOGIハラ」は、性別に関する自分の認識などを引き合いに出して嘲笑・揶揄する、あるいはそのことに関連して暴力を振るうなどの行為を指す。
「パワハラなどの職場のいじめ・嫌がらせ」と「ジェンダーハラスメント」、「セクハラ」の加害者として最も多く挙げられたのは「上司や先輩」で、「ケアハラ」で55.1%、「マタハラ」で50.5%、「SOGIハラ」で43.8%と、どのハラスメントでも、立場が上の者が起こす比率が高いと判明した。
「時間がない」などと相談を途中で打ち切られてしまった、という人も
実際にハラスメントを受けたことのある人の4割は、誰にも相談せずに泣き寝入りしていることも判明した。「ハラスメントを受けた」と回答した254人のうち、誰かに相談したのは58.3%で、彼ら・彼女らの相談先として最も多かったのは「職場の上司や人事担当者、職場の同僚など」(60.1%)で、次いで「親など身近な人」(27%)、「職場以外の知人・友人」(25%)だった。「職場の相談窓口」は14.2%で最も低かった。
相談後の対応では「相談は親身に受け止めてくれたが、具体的な対応に進まなかった」が48%で最も多く、具体的な対処に至った割合を上回った。
また、「『あなたのせいではないのか?』『あなたも悪いのではないか』など相談者に責任があるようなことを言われた」人が6.1%と、相談者をさらに傷つけるような対応だったケースもあった。「『時間がない』などと相談を途中で打ち切られてしまった」(3.4%)、「『うちは窓口ではない』などとたらい回しにされた」(2%)のように、まともに対応してもらえないケースもあり、ハラスメント防止に加え、発生後の対応方法にも課題があることが伺えた。