マーケティングリサーチを行うGfKは11月16日、2017年版の世界の国家ブランド指数(NBISM)ランキングを発表した。日本は前回の7位から順位を上げ、カナダと同率の4位だった。
同調査は2005年に始まり、2017年は18歳以上の2万185人を対象に、20カ国でインターネット調査を実施した。調査期間は今年7月で「輸出」「統治」「文化」「人々」「観光」「移住・投資」の6分野において、インドや中国、日本など50カ国に対するイメージを聞いている。
米国は「統治」の順位が19位から23位に大幅に後退
日本は、「輸出」項目で1位を獲得。「観光」「人々」「移住・投資」でも昨年より順位を上げていて、トップ10の中でのスコア上昇率は最も大きかった。
米国は「文化」と「輸出」項目で2位、「移住・投資」で5位に入ったが、「統治」が19位から23位へ後退した。全体では、50か国中で唯一順位を下げて6位だった。国家ブランド指数の開発者であるサイモン・アンホルト教授は、「統治」分野の順位低下は「アメリカ・ファースト」に代表されるトランプ大統領の政策の影響が大きいと見ている。しかし、
「アメリカ人の自国に対する評価は前年と比べると非常にポジティブになっている。今回と同じようなアメリカ合衆国に対するグローバル評価の下落は、ジョージ・W・ブッシュ氏の再選時にもみられた」
と指摘し、
「アメリカ合衆国が続けて何年も上位から外れたことはこれまでない。2018年にどのような復活を遂げるのかは興味深いところだ」
と、来年の順位への期待を見せた。
1位は昨年2位だったドイツ。6分野それぞれでバランスの取れた結果となっていて、前年から特にスコアが伸びたのは「文化」(+1.07)、「統治」(+1.28)、「人々」(+1.34)の3分野だった。
英国は「輸出」「観光」など4分野でトップ5入り EU離脱投票の影響薄れた?
前年5位のフランスは、本調査開始後初めて2位を記録した。フランスのスコアは6分野全てで上昇しており、「文化」では1位、「観光」では2位、「輸出」では5位を獲得している。
EU離脱投票直後の2016年に低下した英国のスコアは、今回は2015年水準に近づいた。分野別では、「輸出」「文化」「観光」「移住・投資」でトップ5に入り、「統治」や「人々」でもスコアは上昇している。
GfKのパブリックアフェアーズ&コンサルティング部門のシニア・バイスプレジデントは今回の結果を振り返り、
「国家ブランド指数(NBISM)は、現在のイメージ、推進力、潜在力という観点から各国の立ち位置を示しています。国家ブランドに対するグローバル認知を変えることは、容易ではなく、速度も緩やかです。しかしながら、マイナス要因を理解したり、前向きなコミュニケーションをしたりすることによって、偏った古い認知を変えることができます」
とのコメントを寄せていた。