スーパーGT:31号車TOYOTA PRIUS apr GT 2017年第8戦もてぎ レースレポート 2017 AUTOBACS SUPER GT ROUND 8
ツインリンクもてぎ
開催地:ツインリンクもてぎ(栃木県)/4.801km
11月11日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:1万9500人
11月12日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:3万6000人
全8戦で争われるスーパーGTシリーズの最終戦『MOTEGI GT GRAND FINAL』がツインリンクもてぎで開催された。今年もaprは2台のトヨタ・プリウスZVW51 を走らせ、『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』を嵯峨宏紀選手と久保凛太郎選手に託すこととなった。
前回のタイ、チャーンインターナショナルサーキットでのレースは、予選 10 番手から戦いに臨み、スコールによるスタート時の濡れた路面に、ウェットタイヤをチョイス。徐々に乾いていく微妙なコンディションの中、2ピット策に急きょ討って出ることになった。
一時は4番手にまで順位を上げたものの、最初のピットストップで交換したドライタイヤを次のピットストップで交換せず。入賞まであと一歩の11位という結果に甘んじた。
その結果、チャンピオン獲得の希望は断たれることとなったが、今年最後の戦いはまさに腕の見せどころ。開幕戦以来のノーハンデマッチになって、しかもレース距離は通常より50km短い、250kmでのバトルとあって、息つく暇もない、さながらスプリントばりの展開となるのは必至だからだ。
昨年の最終戦ではポールポジションを獲得。決勝では惜しくも2位に甘んじたものの、チームもドライバーもベストを尽くせただけに、ピットには達成感があった。今回もそのような展開に、いや、もうひとつ上の順位を獲得することで、より清々しくシーズンオフを迎えられることが望まれる。
昨年のそんな結果からも明らかなとおり、マシンとコースの相性も悪くないだけに!
公式練習 11月11日(土)8:45~10:20
公式練習が始まった頃は、まだ上空に雲を残していたが、時間の経過とともに強い日差しが注がれるようになり、結局土曜日は終始ドライコンディションでの走行が可能となっていた。『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』に最初に乗り込んだのは嵯峨選手。
開始早々に赤旗が出るハプニングもあったが、間もなく再開されて本格的な走行が開始される。
序盤のうちに、このセッションベストとなる1分49秒248を嵯峨選手はマークし、その後はトラブルに見舞われることなく、短いピット作業を何度も繰り返して決勝セットを詰めていく。ほぼ1時間経過したところから久保選手の走行に。
1分49秒台を何度も記録していた嵯峨選手に対し、久保選手はなかなか1分50秒の壁を切ることができず。ラストのGT300 単独のセッションで、ようやくベストタイムとなる1分50秒653を出すに至ったあたり、一抹の不安を残す。
続いて行われたサーキットサファリは、再び嵯峨選手からの走行となり、バスと並走する状況とあっても1分49秒314を出すあたり、嵯峨選手の方は好調のようだ。ラスト1周は久保選手のドライブとなった。
公式予選Q1 11月11日(土)14:00~14:15
今回のQ1担当は久保選手。ピットが最終コーナー寄りだったため、すぐにコースインしてもトラフィックは避けられないことから1分ほど待機してから、ピットを離れることに。日差しは強いのだが、気温、路面温度ともに低かったこともあり、ウォームアップを入念に行ってから、久保選手は『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』に鞭をくれることとなった。
しかし、せっかくライバルとはタイミングをずらしたはずなのに、苦戦する久保選手。最初のアタックラップは1分48秒719で、その時点での 4 番手につけるも、路面状態の向上でタイムを縮めていく選手が続出する中、なかなかタイムを伸ばせずにいた。
そしてラストアタックで、ようやく1分48秒510をマークするが、Q1クリアゾーンにコンマ6秒届かず。その結果、『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』は、19番手から決勝に挑むこととなった。
嵯峨宏紀選手
「昨年ポールポジションのプリウスは、もてぎが得意のはずだったが蓋を開けてみると、全く歯が立たない状況でした。それでもQ1は久保選手で10位くらいに残り僕がQ2で渾身のアタックを予定していたが、希望もむなしくQ1落ちの19位が実力でした、、、、」
「明日も厳しい展開が待ち受けているはずだが可能性が1%でもあるかぎり全力は尽くします。毎年、最終戦の成績は良いので我々にツキが回ってくるかと思っています」
久保凛太郎選手
「Q1落ち、ごめんなさい。クリアラップもうまく取れなかった事もありますが、他車と比べて明らかにブレーキも劣るし、エンジンもパワーが足りなく立ち上がりでのタイムロスも響きました」
「昨年よりも、色々と厳しくなっているからだと言い訳ばかりしたくもないので、明日は全力で頑張るのではなく冷静に慎重に僕らしいレースをいたします。もてぎは PRIUS との相性も良いはずなので」
金曽裕人監督
「プリウスになってから、もてぎ初のQ1敗退。色々と理由はあるし要因も分かっているが、それでもチーム力でもっと前に行かなければいけない。決勝までに足りない部分を埋めるには時間が無いが、あきらめず作戦含めせめてポイントは獲得したい。明日は、最後まで攻め続ける姿を皆様にお見せいたします」
決勝レース(53周)11月12日(日)13:30~
土曜日に続いて天気に恵まれた、日曜日のツインリンクもてぎは、まさに大観衆に包まれて、といった感が相応しかった。見渡す限り、観客席は満員であったからだ。そんな華やかな雰囲気の中、まず20分間のウォームアップが行われ、ここではスタートも担当する久保選手からの走行開始に。
1分50秒095と、決勝想定のタイムを出した後、ほぼ折り返しのタイミングで嵯峨選手とドライバー交代の練習を兼ねてスイッチし、最終チェックが行われた。
決勝のスタートダッシュにも優れた久保選手は、1周目のうちに2台をかわすことに成功。まずは上々の滑り出しを見せる。7周目には1台を自力で抜き、8周目には前走車の後退もあって15番手に。それからしばらくはポジションキープで、周回を重ねていく。
当初はタイヤ無交換のチームも多いのでは……と思われていたが、実際には意外に少なく、それどころか早々とピットも動き出す。トップの車両はミニマムの周回である16周で入り、『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』も、その次の周には久保選手を呼び戻すとともに無交換作戦を実行。
素早いピット作業でコースに送り出された嵯峨選手は20周を過ぎた時点で、すでに交代を済ませているグループの7番手に。全車がピット作業を終えると、やはり9番手と入賞圏内に。しかし、その後ストレートパフォーマンスに勝るFIA-GT3車両に相次いで迫られ、抗うすべもないまま12番手に後退。
これがJAF-GT勢の2番手というあたりに、今年の厳しい状況がはっきりと表れていた。それでもトップとは同一周回だったこともあり、チームランキングでは3ポイントを加え、ドライバーランキングともども、15位でシリーズを終えることとなった。
あくまでミニマムの目標しか達成できず、今シーズンは表彰台に立つこと1回、入賞3回、クラッシュによるリタイア2回と非常に苦戦を強いられた。新たなシーズンでの巻き返しが、大いに期待される。
嵯峨宏紀選手
「今年のシーズンは非常に疲れました。非力で重たいマシンでは全く余裕がなく常にギリギリのところでドライビングを強いられてきました。それもあって、シーズン中にクラッシュもしてしまい皆様に心配や要らぬ労力をかけさせてしまったりと僕自身も反省は多いです」
「時には厳しいシーズンもありますが、挑戦をやめて諦めると来年は見えないので、オフシーズンはドライビングも含め全てのパフォーマンス向上に努めたいと思います」
久保凛太郎選手
「今年1年は自分にとって大きな変化の年でした。プリウスという特別なマシンにaprという最強のチーム。僕が4輪を始めた時から1番近くで見てくれた嵯峨選手と組めることも出来ました」
「金曽監督、嵯峨選手、メカの皆さん、ブリヂストン様そして多くのスポンサーの皆様。本当にありがとうございました!」
「反省ばかりの1年でしたが大きく成長し、そして多くの大切な事を学べました。自分のダメな所がどんどん見えてきました。でも意識と練習で克服出来ます。久保凜太郎はこれから強くなります。今日から2018年のスタートです」
金曽裕人監督
「応援頂きましたスポンサー企業の皆さま、ファンの皆様、1年間ありがとうございました。足りない所、足りない自分を 必ず改善し、来シーズンはリベンジ致します。我々aprは、くじけない強い精神を持っておりますので今後ともよろしくお願い致します」
「駄目な時でも変わらぬ応援を下さった多くの皆さまへ、心から感謝申し上げます。」