受動喫煙対策が大きく後退することになりそうだ。厚生労働省は、これまで検討してきた規制案を大幅に緩和し、店舗面積が150平方メートル以下の飲食店は喫煙可とする新しい案を検討しているという。毎日新聞などが報じた。
この報道を受け、都民ファーストの会を離党した東京都議会議員のおときた駿氏は11月16日、
「理解に苦しむ大幅な後退。これでは骨抜きどころか原型すら留めていないのではないか。こうなると、ますます東京都独自の受動喫煙防止対策が重要になってきます」
とツイートした。
三原じゅん子「厚労省は、毎年、受動喫煙で亡くなる1万5千人の命を本気で守る気があるのか!」
これまで厚労省は、飲食店は原則として禁煙とし(喫煙室の設置は可)、30平方メートル以下の小規模な店舗に限って喫煙できるという規制案を検討していた。報道によると、新たな案では、原則禁煙はそのままに、例外として喫煙を認める店舗の面積を150平方メートルまで大幅に拡大した。
ただし、法律が施行された時点で開業していること、大手チェーン店ではないことなどが条件となる。また未成年の受動喫煙を防ぐため、20歳未満の従業員や客の喫煙スペースへの立ち入りを禁じるという。
これに対して、自民党の三原じゅん子参議院議員は同日、
「厚労大臣が代わって大幅に後退。厚労省は、毎年、受動喫煙で亡くなる1万5千人の命を本気で守る気があるのか!」
とツイートし憤慨していた。厚生労働大臣は、2017年8月の内閣改造で、塩崎恭久氏から加藤勝信氏へと交代。規制に積極的な塩崎氏は、例外を30平方メートル以下に限定する案の実現に尽力していたが、加藤氏に代わったことで規制案が後退した形だ。
厚労省の資料によると、受動喫煙による年間死亡者数の推計値は女性1万434人、男性4532人で合わせて約1万5000人となる。あくまでも推計値だが、受動喫煙による健康被害が大きいことに変わりはない。
「自民党に一人勝ちさせるとこうなるという見本が来ましたね」
今回の報道を受けてネットでは他にも
「これでは、町の飲食店ほとんどが喫煙可になってしまう。新規に禁煙になる店が増えなけば意味がないのに骨抜きの法案が通ろうとしている」
「これでは受動喫煙対策後進国は変わらない」
といった怒りの声が相次いでいた。
「自民党に一人勝ちさせるとこうなるという見本が来ましたね」と規制案が後退した背景を指摘する人もいた。同党には、野田毅氏率いる「たばこ議員連盟」なるものがあり、規制に慎重な議員も多い。先日の衆院選で自民大勝になったことが、規制案の大幅緩和につながった可能性もある。
おときた氏の言うように、厚労省案が後退した今こそ、東京都の受動喫煙防止条例の重要性が増していると言えるだろう。都民ファーストの会と公明党は、医療施設や小・中・高校などでは施設内禁煙、官公庁や大学では屋内禁煙で喫煙室の設置も禁止する罰則付きの条例制定を目指している。同条例では、駅や飲食店も原則として禁煙し、例外は特定の条件を満たした30平方メートル以下の飲食店に限定している。