餃子をお店で注文すると、一人前だと横一列に、二人前だと横二列に並んで出てくることが多い。しかし、二人で二人前の餃子を食べる時には、ある問題で困惑してしまうという人がいるようだ。
困惑は餃子が横並びになっていることから発生する。二人前の餃子は二列に横並びになっているが、下の列の餃子に上の列の餃子がやや被さって提供されていることがほとんどだ。最初のひとつめを食する時、人はまず上に並んだ餃子の一番端から取るだろう。
自分がまず、一番端を取った。――「うまい」。友人も箸を持ち、ひとつめの餃子を狙っている。と、次の瞬間、友人が手を付けたのはつい先ほど自分が取った餃子のすぐ隣、つまり同じ列の餃子に手を付けてきたわけだ。ここで、「は?」となり、
「餃子は自分の列から取れよ!」
とひそかに怒りに震える人がいるらしい。(文:みゆくらけん)
「なんで上を自分の列って勝手に決めるの?」
そんな「餃子の横取り問題」について議論が白熱していたのは、11月7日の「ちちんぷいぷい」(毎日放送)だ。番組の街頭インタビューではこの横取り問題について意見が分かれた。
「許せない。領域を侵されたみたいな。(やられたら)自分もやり返す」
「許せる。なんとも思えへん」
スタジオでも許せる派と許せない派に分かれ、許せない派のロザンの菅広文はその理由を、きっちり平等に食べたいのに自分がいくつ食べたか「数がわからなくなるから」と説明。同じく許せない派の山本浩之アナウンサーが「自分の列やと思ってたのに」と切り出すと、すかさず噛み付いたのは許せる派のトミーズ健だ。
「それがおかしいねん!なんで上を自分の列って勝手に決めるの?」
さらに、上から順に食べるのは当然のことだとし「デコレーションケーキを下から食べるの?上から食べなあかんやん!」とも。ロザンの宇冶原史規も「大皿の場合、どこから食べてもかまわない」と主張した。
マナー的には「それぞれ手前の餃子を食べる」というのが正解らしい
2人の意見を聞いてもなお、「自分の列を侵された感」が耐えられないと考える山本浩之アナウンサー。健の「下から取るのはおかしい」に対し、「まず自分が(一番)左側の餃子を取ったら、その下の餃子には何も被さっていない」と、つまりは下からわざわざ取るような状態ではないと説明。すると宇冶原に
「その理屈でいくと、ふたつめ以降、必ず上の人が食べるのを待たないと食べられない」
と論破されていた。たかが餃子の食べ方でここまで各々の常識が違うとは意外な驚きだ。皆、自分の食べ方ルールが正しいと思っているため、他人と食べる時には注意しなければと感じさせられる。
この番組を見たその日の晩に、夫と餃子を食べに行った。二人前注文したら、上の餃子が下の餃子にやや被さるスタンダードな横二列で提供された。まず自分が上の左端っこの餃子を取り、次に夫がどこから手を付けるのか観察していたら、上の列の右側一番端を取っていた。この日の席はカウンター。次に夫が手を付けたのは下の列の右側一番端。つまりは「自分に近いところから取る」というスタイルで、特に何もこだわりは感じられなかった。ホッとした。
ちなみに、マナー的見解からいえば「テーブルでは極力食べ物の上を通らないことがマナー。それぞれ手前の餃子を食べましょう」(現代礼法研究所・岩下宣子先生)ということだった。