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日馬富士が「逮捕」される可能性は?「ビール瓶」暴行問題、波紋広がる

2017年11月15日 16:43  弁護士ドットコム

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大相撲の横綱日馬富士(伊勢ケ浜部屋)が巡業先の鳥取市で、平幕の貴ノ岩(貴乃花部屋)をビール瓶などで殴ってケガさせていた問題が一斉に報じられた。角界を揺るがしかねない不祥事は、大きな波紋を広げている。


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報道によると、日馬富士は10月25日夜、酒の入った飲食の席で、貴ノ岩をビール瓶や素手で殴り、頭などにケガを負わせたとされる。貴ノ岩は「脳振とう、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑い」と診断されて、一時入院していたという。現在、九州場所を休場している。


日本相撲協会は、九州場所が終わり次第、事実関係やトラブルになった原因などを調査したうえで、処分を決める方針だ。一方、貴ノ岩の師匠、貴乃花親方はすで被害届に提出しており、鳥取県警は傷害容疑で捜査しているという。はたして、日馬富士が逮捕される可能性はあるのだろうか。刑事事件にくわしい落合洋司弁護士に聞いた。


●日馬富士が逃亡することは考えにくい

「報道によれば、目撃者の証言から犯行状況は明らかになっているようです。日馬富士が逃亡することも考えにくく、逮捕の要件(罪証隠滅のおそれなど)や必要性は肯定されにくいと思います。したがって、逮捕される可能性は低いでしょう。ただ、日馬富士が犯行を否認したり、警察への出頭を拒むようなことがあれば逮捕もありえます」


その場合、どのような罪に問われるのだろうか。


「傷害罪でしょう。法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金ですから、その範囲内での処罰がありえます。今後の示談や社会的制裁(たとえば引退など)によっては、起訴猶予処分もありえなくはないでしょう」


もし仮に起訴まで至った場合、どのような判決が予想されるか。


「おそらく前科がないことやケガの程度などから、罰金刑の可能性が高いと予想します。罰金刑の場合、日馬富士の同意のもとに、正式裁判ではなく略式手続(公判を開かず裁判官が記録を見て処分を決める)によることになるでしょう。


正式裁判になった場合、ケガの程度などから見て、懲役刑(1年前後)になっても、執行猶予(3年程度)が付く可能性が高いと思います」


好角家で漫画家のやくみつるさんは、朝日新聞の取材に「ビール瓶で殴ったことが事実であれば引退に値する」とコメントしている。引退は、刑事処分にどんな影響があるのだろうか。


「社会的制裁ということも、刑事処分決定の上では考慮されます。その意味で、日馬富士の今後の進退は刑事処分にも影響するでしょう。


いずれにせよ、国技である大相撲で高い品格が求められる横綱による不祥事であり、青少年への影響など、憂慮されるものは大きいと思います。それだけに残念な思いがします」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
落合 洋司(おちあい・ようじ)弁護士
1989年、検事に任官、東京地検公安部等に勤務し2000年退官・弁護士登録。IT企業勤務を経て現在に至る。
事務所名:泉岳寺前法律事務所
事務所URL:http://d.hatena.ne.jp/yjochi/