CTCC中国ツーリングカー選手権にワイルドカード枠で参戦する元WTCC世界ツーリングカー選手権王者のロブ・ハフが、11月11~13日に武漢市街地のストリートサーキットで開催された第7戦でレース1をポール・トゥ・ウイン、レース2で2位表彰台を獲得。これにより今季初のシリーズリーダーに浮上した。
CTCCの最上位カテゴリーであるスーパーカップ・クラスに、SAIC VW333レーシングからワイルドカード枠で参戦するハフは、元世界王者の貫禄を見せ今季わずか3度目となるCTCCの週末にも関わらず、初走行となる市街地コースで予選ポールポジションを獲得。
降りしきる豪雨のなか、中国湖北省東部の武漢市に設定されたストリートコースでフォルクスワーゲンが中国市場に投入する『フォルクスワーゲン・ラマンド』をベースとした『VW・ラマンドGTS』をドライブし、2番手につけたキア・K3 2.0Tに乗るレオ・イ・ホン・リーにコンマ3秒差をつける1分6秒719のトップタイムをマーク。
この結果、ポールシッターに贈られるチャンピオンシップポイント5点を加算し、この時点で選手権5位まで浮上し、翌日の決勝レース1に挑むこととなった。
雨が上がった土曜レース1のスタートで、ハフはポールから盤石のスタートを見せ1コーナーを奪取。その後も2番グリッドのキア・K3とのギャップをコントロールするツーリングカーの名手にふさわしいパフォーマンスを披露。
今季はWTCCやTCRインターナショナル・シリーズとの掛け持ちで、CTCCでのマイレージが十分に稼げていないにもかかわらず、19周のレース全域にわたって『VW・ラマンドGTS』で力強いレースペースを見せ、後続に4.5秒のリードを築いてポール・トゥ・フィニッシュ。
この結果、レース1終了時点でハフは選手権3位に浮上。2位にキアのレオ・リー、3位にハフのチームメイトであり、同じ『VW・ラマンドGTS』に乗るロドルフォ・アビラが入り、翌日のレース2に臨むこととなった。
続く日曜13時10分にスタートとなったレース2は、前日のリザルトから12台がリバースグリッドとなり、ハフは12番手からのレースに。
ポールからスタートしたのは、昨年TCRインターナショナルにTCRスペックのフォード・フォーカスを送り込んだ長安FRDチームのCTCCスペック、フォード・フォーカスをドライブするチャン・ダ・シェンだったが、その後方12番グリッドからスタートのハフと、10番グリッドスタートのアビラのSAIC VW333レーシング艦隊が2周目までに6番手、7番手までジャンプアップ。
さらにSAIC VW333レーシングのもう一台、チェン・チャン・ダンの『VW・ラマンドGTS』が5周目にポールスタートのフォードのリヤを突くと、フォーカスは堪えきれずスピン。
これで労せずして、SAIC VW333レーシングの『VW・ラマンドGTS』3台がワン・ツー・スリー体制を構築する。
その後、レース中盤にアビラの『VW・ラマンドGTS』をトラブルが襲いスローダウンするも、先頭の2台はそのままのポジションを維持し18周のチェッカー。ハフのチームメイトであるダンが勝利を挙げ、ハフは2位フィニッシュ。3位にはこちらも元WTCCドライバーで、北京セノヴァの『BAIC・セノヴァCC』をドライブするダリル・オーヤンが入った。
このリザルトにより、ハフはポイントリーダーだったフォードのマーティン・カオを逆転し、選手権首位浮上に成功。1レースを残してタイトル獲得の可能性が大きく開けることとなった。
「完璧な週末だったしクルマはよく機能してくれた。WTCCやTCRとの兼ね合いでシーズンの半分以上になる4レースを欠場していながら、こうして選手権首位に立つことなど想像もしていなかった」と、週末を終えて笑顔で振り返ったハフ。
「4人がタイトルの可能性を残したまま、最終戦の上海に向かうのはシリーズにとっても良いことだと思う。チームが拠点を置くホームレースでもあるし、可能性がある限りタイトルを狙っていくよ」
ハフはこの週末、前人未到のギアレース9勝目を掛けてWTCCマカオに向かい、その2週後にCTCC最終戦・上海ラウンドに挑むこととなる。