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MotoGP:ヤマハ 2017年第18戦バレンシアGP レースレポート

2017年11月14日 15:41  AUTOSPORT web

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バレンティーノ・ロッシ/モビスター・ヤマハ・MotoGP
Rd.18 11月12日 バレンシア

RACE DATA
■大会名称:MotoGP第18戦バレンシアGP
■開催日:2017年11月12日(日)決勝結果
■開催地:バレンシア/スペイン
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度 ■路面温度:26度
■PP:M・マルケス(1分29秒897/ホンダ)
■FL:J・ザルコ(1分31秒576/ヤマハ)

REPORT
2017シーズン最終戦、ロッシが5位、ビニャーレス12位

 劇的な展開となったシーズン最終戦、Movistar Yamaha MotoGPのV・ロッシは終始、安定した走りを見せて5位を獲得。一方、午前中に行われたウォームアップ・セッションで転倒もあったチームメイトのM・ビニャーレスは、なかなかペースが上がらず12位となった。

 ロッシはグリッド7番手からスタートして、1周目はそのポジションをキープ。続いてJ・ミラー(ホンダ)とバトルとなり8番手に後退したが、7ラップ目にこれを抜き返して再び7番手へ。しばらく淡々とペースを守って走行したあと、A・イアンノーネ(スズキ)に仕掛けてパス、次にA・リンス(スズキ)に先行を許すなどバトルを再開。この頃、前方では転倒が発生して大きく順位が入れ替わっており、ロッシもこの影響を受けて5番手へと浮上した。このあとも前車との差を詰めていくことはできなかったが、最後までこのポジションを守り切ってチェッカー。トップから13.817秒差で5位を獲得した。

 一方のビニャーレスは、午前中に行われたウォームアップ・セッションのなかでマシンの最終調整を行ったものの、小さな転倒もあり、十分な成果を得られないまま決勝をスタート。グリッド13番手からオープニングラップでひとつ上げたあと、ペースアップに苦しみ15番手へ後退した。しかしこのあとD・ペトルッチ(ドゥカティ)をとらえて自信を取り戻し、さらに2ラップ連続で自己ベストを更新するなど1分32秒前半に上げるとB・スミス(KTM)をパス。これで一旦は10番手までポジションを上げたが、そのあと再びふたつ下げて12位でゴールした。トップとの差は35.012秒だった。

 この結果、シリーズポイントではロッシが合計208ポイントに伸ばしてランキング5位。ビニャーレスはYZR-M1デビューイヤーに合計230ポイントを挙げ、トップから68ポイント差でランキング3位を獲得した。ヤマハはコンストラクターズ・ランキングでトップに36ポイント差の2位、Movistar Yamaha MotoGPはチーム・ランキングでトップに70ポイント差の2位となった。

 これで2017シーズンは終了したが、11月14日火曜日には再びリカルド・トルモ・サーキットへ戻って2日間の公式テストに臨む。

ザルコが2位表彰台獲得! ファン・デル・マークも好走

 Monster Yamaha Tech3 TeamのJ・ザルコがシーズン最終戦で熾烈な優勝争いを展開。僅差で2位となった。絶好のスタートから終始ハイペースをキープし、終盤はD・ペドロサ(ホンダ)との一騎打ち。わずかに届かず0.337秒差の2位でチェッカーを受けた。

 一方のM・ファン・デル・マークはMotoGP参戦2戦目も最後まで順調に走り切った。グリッド9列目から16番手まで上がったあと、小さなミスの間にひとつ下げて17位でゴールラインを通過した。

COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(5位)
「もちろんもっといい成績が欲しかったけれど、一方で、予想していた通りのレースになったように思います。ウイーク中ずっと思うようにペースが上がっていなかったので、厳しい展開は始めからわかっていたことです。このあとは、オフシーズン中のマシンテストが非常に重要になります。前との差を縮め、セッティングを向上させ、来シーズンに向けてしっかり準備をしていきます」

M・ビニャーレス選手談(12位)
「ウォームアップ・セッションは好調だったのですが、おそらくプッシュが激しすぎたのでしょう。でもフィーリングがとても良かったので、そのことがとても重要だと感じていました。このあとのテストのなかで、またこの好感触を取り戻せるようにがんばっていきたいと思います。決勝では状況がまったく異なっていて、今までにないようなフィーリングだったのでペースを抑えてしまうことになりました。いろいろなセッティングを試してみた結果でしたが、これからまた調整を行って感覚を取り戻していけば、良い方向性を見つけ出せると確信しています」

M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「わたしたちにとっては非常に厳しい展開になってしまいました。しかしMotoGPファンにとっては、依然としてエキサイティングなレースであったに違いありません。バレンティーノはこの苦しみのなかでも、ひとつもミスをせずに走り切りました。そしてクラッシュやコースアウトの影響もあって5位まで上がることができたのです。ただ、わずか2ポイント差でランキング4位を逃したことは本当に残念でした」

「マーベリックは午前中のウォームアップ・セッションのなかで転倒してしまったため、短い時間でそのあとの準備を整えなければなりませんでした。それでも、ウォームアップではかなり好感触をつかんでいたのです。ところが決勝になるとまったく違う展開になってしまい、期待したような成績を残すことができませんでした。このように非常に厳しい状況のなかでも、チームが一丸となって全力でプッシュし続けた結果としてチームおよびコンストラクターのランキング2位を獲得。そしてマーベリックはヤマハ1年目にしてランキング3位と本当によく頑張ってくれました。しかしながら、わたしたちはやはり、もっと違う形でシーズンを終えたいと考えていたのです。全力を尽くしたけれども、目標には手が届きませんでした」

「火曜日には早くも2018シーズンが始まります。新しいパーツやシステム、新しいアイディアを試すための絶好のチャンスなので、そのなかで、新たなシーズンに向けて確かな方向性を見いださなければなりません」

Monster Yamaha Tech3 Team
J・ザルコ選手談(2位)
「優勝を狙えるだけのポテンシャルがあったと思います。昨日も話しましたが、勝つために必要な要素がすべて備わっていました。マルケスが近づいてきたときも私自身は非常に落ち着いていましたが、彼にアドバンテージを握られたくないと考えましたし、逃げ切られないようにしなければならないと思いました。優勝を目指していたので何とか抜き返したかったのです。これができたことが、むしろ私には重要でした。1位か2位かで今日の私のレースの質が変わるわけではないと思っています。この時間をエンジョイし、またダニを祝福したいと思います。最終ラップで彼はとても巧みに私を抜いていきました。私はうまくコーナーに進入できなくなって大きく差をつけられてしまったのです。そのあともう一度、仕掛けたかったのですが、あやうく転倒しそうになってしまいした。この2位は、最終戦を締めくくるのに最高の結果だと思っています」

M・ファン・デル・マーク選手談(17位)
「とても厳しいウイークでしたが、今日はレースをエンジョイすることができました。絶好のスタートが切れたので、そこでまずいくつかポジションアップ。そしてMotoGPのコース上で何度かバトルを展開することもできました。グランプリは本当に楽しく、わくわくできる場所。MotoGPマシンに乗ることはいつでも私の夢でしたが、このような素晴らしいチームから2回のレースに出させていただけたことはとても特別なことで、このようなチャンスを与えてくれたエルベ(ポンシャラル)に心から感謝しています。もしもまた呼んでもらえるなら本当に光栄です。マシンに慣れるには時間が必要でした。でも2回のレースを完走し、存分にエンジョイすることができました」

H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「最高の最終戦になりました。ドビツィオーゾとマルケスにはたくさんの戦術、戦略があったと思いますが、ヨハンはこのことを理解した上で、レースをリードし、逃げ切りを図りました。彼は、失うものが大きいライバルたちよりも、より多くのリスクを賭けようとしていたのです。序盤から素晴らしい走りを見せ、残り1ラップまでトップをキープしました。しかしダニが最後の10ラップで非常に強く、まさに絶好の場所、つまり最終ラップの第1コーナーで仕掛けてきました。もちろん、優勝できたとしたら、それは夢のようにうれしいことですし、当然、誰もが望むことです。しかしこの経験が、必ず彼を強くしてくれるでしょう。とくにここ4戦、4連続フロントローと2位表彰台を獲得できたことを私も本当にうれしく思っています。さらには、ファクトリー・ヤマハにも貴重なフィードバックができたとすれば光栄なことです。いずれにしてもザルコは明らかな強さを見せ、成績を残しました。シーズンを通しての大きな成長を祝福し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーとランキング6位とトップ・サテライトの栄誉を与えてくれたことに感謝します。さらに加えて、トップ走行周回数でヨハンは、マルケスに続く2位も獲得しているのです」

「もう一方、マイケルが今日も素晴らしい仕事をしてくれました。前回のセパンからまた大きく前進。天候に恵まれたことも助けになってくれたのだと思います。経験豊富なMotoGPライダーたちと競り合うなどベストを尽くし、そのなかで大きく成長してくれたことをうれしく思います。この時期になっていきなりジョナスの代役を務めることが決して簡単ではないことは、わたしたちがよく知っていますが、そのなかで彼は非常に聡明であり、貴重なチャンスを十分に生かしてくれました。彼の貢献に心から感謝し、ヤマハとのコラボレーションのなかで、もしも可能ならば、またチャンスをあげられるように精一杯、努力したいと思っています。ジョナスがこのレースを見て、復帰に向けて奮起してくれることを期待します。もちろんわたしたちには彼が必要です。できるだけ早く、ナンバー94が帰って来ることを願っています。チーム全員の努力に感謝。本当に素晴らしいシーズンでした」