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近所の「あばら家」、風雨のたびに「屋根の切れ端」が飛び散って不安…どうすれば?

2017年11月14日 10:02  弁護士ドットコム

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お向かいさんから屋根の切れ端が飛んできて、車に当たって傷がつきそうーー。雨風の強い日になると、東京都のK子さんは、いつもそんな心配をしています。K子さんの自宅の向かいの家は、築40年ほどの木造住宅。いつの頃からか屋根はどんどん老朽化し、雨漏りをするようになったからか屋根の上にはブルーシートがかぶさっています。


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しかし、屋根の切れ端は、K子さん宅の敷地内にも飛んで来ます。車のすぐ近くに落ちていることもあり、「車が傷つけられたら困る」と屋根を修理してもらうよう頼みましたが、一向に直してくれず、お願いし続けて5年以上が経過したそうです。


このような近所トラブルが発生した場合、どうすればいいのでしょうか。五十部紀英弁護士に聞きました。


●いきなり建物を壊したり、修理したりすることにはリスクが伴う

「築40年で屋根の切れ端が敷地に飛んできているとは、かなり建物が老朽化していると考えられます。


もし、この建物が倒壊しそうな場合、占有訴権(民法199条)に基づき建物を取り壊すよう求めたり、予防措置を講じるよう求めたりすることができます。


また、倒壊の危険性が非常に高い場合には正当防衛や緊急避難(民法720条1項、2項)に基づき、この建物を取り壊したり修理したりすることもできます。


ただし、いずれの場合も要件がかなり厳格に判断されるので、いきなり建物を壊したり修理したりするのはリスクがあります」



もし、実際に車が傷つくなどの損害が発生した場合はどうすればいいのか。



「屋根の切れ端で物が傷ついた場合、建物の設置又は保存に瑕疵(欠陥)があれば占有者又は所有者に対して損害賠償責任を追及することができます(民法717条1項)。


損害賠償請求をするためには建物に欠陥があることを立証しないといけませんので、事前に建物の状況を写真で撮影したり、雨漏りしている等の情報を聞いた場合は録音をしたりメモを取っておく必要があります。


従って、今回のケースではまず向かいの家の方に屋根を修理してもらうよう粘り強くお願いしつつ、いざというときの証拠となるような写真を撮っておいたり屋根の状況を聞いて録音を録っておくべきかと思います」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
五十部 紀英(いそべ・としひで)弁護士
弁護士法人アドバンス代表弁護士。第一東京弁護士会、日本マンション学会、スポーツ法政策研究会などに所属。日本プロ野球選手会公認代理人。法人・個人を問わず、あらゆる方が抱えるリスク・トラブルに対し、常にクライアントの側に立って向き合うことをモットーにしている。
事務所名:弁護士法人アドバンス
事務所URL:http://advance-lpc.jp/