すでに両タイトルが決定している2017年のWorldRX世界ラリークロス選手権は、初開催となる南アフリカで最終戦を迎え、新王者ヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカー)が新記録となる年間7勝目を挙げ、自らのタイトル獲得に華を添える有終の美を飾った。
初開催ラウンドとして初めてのアフリカ大陸上陸となったシリーズ第12戦は、11月10~13日に南アフリカのケープタウン近郊に位置するキラーニー・レースウェイの特設トラックで勝負が繰り広げられ、PSRXフォルクスワーゲン・チーム・スウェーデンのヤングスターが、早くも王者の貫禄を漂わせる完勝劇を演じて見せた。
「ドライバーとチームのタイトルを獲得したシーズンで、最終戦を勝利で締めくくれるのは最高の気分だ」と笑顔で語ったクリストファーソン。
「今季はチームの全員が懸命に仕事をし、10回の表彰台を獲得できたのは本当に素晴らしいことだと感じている。世界選手権の記録を更新したのもすごいことだけど、タイトルを獲得した事実が何より特別だ」
「今回のラウンドもいい週末になった。セミファイナルでスローパンクチャーに見舞われたけど、ファイナルではいいスタートを決めクリアなスペースを見つけたんだ。それで背後のティミー(・ハンセン/プジョー208WRXスーパーカー)やマティアス(・エクストローム/アウディS1 EKS RXクワトロ)とのギャップをマネージすることができた。もちろん、タイヤケアにも注意を払ってね」
「記念すべきシーズンが送れたことをみんなに感謝したい。僕はフォルクスワーゲンとともに、ふたたび2018年シーズンを戦うために戻ってくるのを本当に楽しみにしているよ」
そのクリストファーソンに次いで、この週末速さを見せたチーム・プジョー-ハンセンのティミーは、Q1、Q4、セミファイナル2を制した勢いそのままに、ファイナルでも王者に次ぐ2位を獲得した。
そのティミーは「最終戦で今季ベストといえる週末が送れたことは励みになる。プジョーのために勝ちたかったし、今週は本当に近い場所まで行ったけど、オープニングラップで少しオーバードライブになり、わずかにヨハンには届かなかった。プジョー208は年間を通じて素晴らしかったし、とくにこのトラックでは最高のパフォーマンスだったよ」と今大会を振り返っている。
そしてディフェンディングチャンピオンとして今シーズンを戦ったマティアス・エクストロームは、ファイナルのスタートで最速の反応スピードを見せたドライバーに贈られるスーパー・チャージ・アワードを獲得。しかし、最終リザルトでは3位に終わり、レース後には改めて新王者に称賛の言葉を贈った。
「ときには前にいることもあれば、後ろになることもある。ヨハンは今日も素晴らしい速さで勝ち、同時にチャンピオンシップ勝者の力を見せつけた」とエクストローム。
「ティミーもこの週末は本当に速かった。正直に言えば、誰もが勝ちたいと思って走っている。WorldRXは今、誰もが勝つ可能性のある速さを持つ、とても熾烈なレベルに到達しているんだ」
そのエクストロームと選手権2位のポジションを争ったペター・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカー)は、この最終戦を4位で終え、2017年をランキング3位で締めくくった。
「エクストロームから5点差でシルバープライズとならなかったのは残念だよ。でも今季僕らが残した結果は誇りに思っていい。ヨハンとPSRXはシリーズの記録をほとんど塗り替えたんだからね。PSRXフォルクスワーゲン・チーム・スウェーデンのメンバーには、感謝の言葉もないくらいだ」
5位には今季が"ルーキー・イヤー"となった元DTM王者のティモ・シャイダー(フォード・フィエスタRXスーパーカーEvo.3/MJPレーシング・チーム・オーストリア)が入り、最終戦でラリークロスの習熟度が高まっていることを示す走りを披露。最後のファイナリスト、ケビン・ハンセン(プジョー208WRXスーパーカー)はスタート直後のギヤボックストラブルで6位となった。
そしてこのイベントが自身最後のWorldRXイベントとなるフーニガン・レーシング・ディヴィジョンのケン・ブロック(フォード・フォーカスRS RXスーパーカー)は、初日から素晴らしいペースを披露し金曜時点で首位に立つも、2位に入ったセミファイナル後の車検でマシンの最低重量違反が判明し失格に。
また、9度のWRC世界ラリー選手権王者獲得経験を持つ"ナインタイムス・チャンピオン"セバスチャン・ローブはセミファイナルでリタイヤを喫したものの、チームメイトのティミーを上回るランキング4位でシーズンを終えている。