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Perfumeはなぜ1万kmの距離を超えてパフォーマンスできたか? NTTドコモによる通信技術に注目

2017年11月13日 15:42  リアルサウンド

リアルサウンド

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 11月8日21時ーーNTTドコモによる新プロジェクト・FUTURE-EXPERIMENTの第一弾として生中継されたPerfumeのパフォーマンスが、全世界で大きな驚きを生んだ。


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 FUTURE-EXPERIMENTは、NTTドコモの通信テクノロジーを活用し、これまでにない臨場感や新体験を伴うエンターテインメントの提供に挑戦するというプロジェクト。10月30日に電車内に突然現れた「実行せよ。実現せよ。」という力強い文字とともにPerfumeの3人が並ぶ広告は、すぐに話題になった。また、「最先端の通信テクノロジーと、様々なテクノロジーを融合し、2020年以降体験できる全く新しい映像体験を提案するコンテンツを、全世界へインターネットでストリーミング生中継配信」するとの発表も事前に行われた。「VOL.01 距離をなくせ。」というタイトルからは、SNS上でパフォーマンスに関するあらゆる予測が生まれていた。


 そして当日の中継では、異なるロケーションの中を歩くPerfumeの姿が映されると、「結成して17年、私たちは初めて、別々のステージに立つ。」と3人が離れた場所でパフォーマンスをすることが明らかに。かしゆかはロンドン、あ~ちゃんは東京、のっちはニューヨーク、と距離を大きく隔てた場所で新曲「FUSION」を踊る3人。そんな3人のパフォーマンスを映した映像は実にスムーズだった。通常、たとえばニュースの中継などであれば、日本にあるスタジオと海外の中継先とのやりとりに多少の時差が生じることがほとんどだが、今回はそれぞれの映像を組み合わせたり、同時に流したりしてもタイムラグを感じることはなかった。生中継を観ていた視聴者は、「これは本当に今、リアルタイムで行われていることなのか?」と目を疑ったはずだ。筆者自身、パフォーマンス後にいつもはピタリと揃っている挨拶、「Perfumeです」にディレイが発生したのを見て、ようやく3人がバラバラの場所にいることを確信できた。


 もちろんこのパフォーマンスが実現したのは、Perfumeの3人の血の滲むような努力による一糸乱れぬダンスがあってこそのもの(3人はパフォーマンス時、他のメンバーの映像を見ていなかったというから驚きだ)。しかしさらに注目したいのは、今回使われていた通信技術だ。超高速・大容量・低遅延通信の実現を目指す5G回線、そしてNTTドコモが開発した低遅延メディア同期技術・Advanced MMTを使うことにより、高画質の映像を東京ーロンドン、東京ーニューヨークの約1万kmの距離を伝送していたにも関わらず、映像間に発生した遅延はわずか50ミリ秒(500分の1秒)だったという。またNTTが開発中のイマージプレゼンス技術・Kirari!も使用し、3人の音声や映像を同期させたそうだ(参考:Perfume×docomo FUTURE-EXPERIMENT VOL.01 距離をなくせ。の技術的な裏話)。その結果、まるで同じ場所にいるかのようにシンクロして踊る姿を見ることができた。


 今回、指一本のズレすらなく踊るPerfumeのパフォーマンスにより、5G回線やMMTといった通信技術が映像や音声の遅延をいかに少なくできるかを証明できたとも言える。NTTでは今後も5Gの特徴を生かせるようなコンテンツを提供していくとのことで、FUTURE-EXPERIMENT VOL.02は東京パラリンピックの1000日前イベントで行なうことを想定しているそうだ。今後もVOL.03、04、05……と続いていくFUTURE-EXPERIMENT。今回のような実験的な取り組みを経て、ライブパフォーマンスやライブビューイングに使われるテクノロジーはさらなる進化を遂げていくことだろう。(村上夏菜)