赤ちゃんと受験生。両者が防音効果のない集合住宅で隣どうしになったら、お互い不幸なことこの上ない。11月8日、はてな匿名ダイアリーに「隣の迷惑クソ親子マジで消えろ」という投稿があった。
投稿者は受験生で、毎日毎晩赤ちゃんの泣き声に勉強と睡眠を邪魔され、イライラが募っている。「大家から厳重注意して欲しい」と親に頼んでも、「赤ちゃんは泣くのが仕事なんだから我慢しなさい」と言われ、味方はいない状況だ。(文:篠原みつき)
「お前も昔は子どもだった」という言葉だけではどうにもならない
一度、あまりにもうるさいので壁を叩いたら、自身の親に怒鳴られたという。「壁叩かれるのが嫌ならさっさと泣き止ませれば済む話だろ。他人に迷惑かけといて可哀想もくそもあるか」と怒り心頭だ。
「マジでストレスがヤバい。睡眠邪魔され過ぎてノイローゼになりそう。てか、こんな毎晩うるさいとかどうせ虐待でもやってんじゃねえの?」
罵詈雑言の投稿に対して反響は大きく、はてなブックマークは800近く付いている。「お前も赤ちゃんの時は夜泣きして 周囲に迷惑かけてたんだぜ」などの批判も見られた。赤ちゃんのお母さんも夜泣きで辛いだろうと考えると、文句を言うのは気の毒だ。そもそも赤ん坊に泣き止めといっても無理な話である。
しかしコメントは意外にも、理解を示す人が大半を占めていた。
「おまえも子供だった言説ってほんとなんの意味があるんだろ そんな分かり切った話されようが今つらい、不快であることの解決に全くならんよな」
という感想が人気コメントの1位で、300以上の賛同を集めている。確かに過去の話を持ち出されても、ますます否定されたと感じるだけだろう。
耳栓やノイズキャンセラヘッドホンなど防音対策を勧める人、「図書館や自習室で勉強したら」などの方法を挙げる人。「受験勉強、大変だよね。がんばってね」という応援も多数寄せられた。赤ちゃんがうるさいのは仕方ない。けれど実際問題、受験を控えてただでさえピリピリしているところへ、毎日これじゃ辛いだろうと同情する人が多かったのだ。
自分の苦しみが理解されないと、余計に怒りを感じるもの
特に筆者が同感だったのは、投稿者よりもその親・周囲に対するこんな指摘だ。
「多分赤子の泣き声それ自体もだけど、自分は辛いという訴えを『我慢しろよ』で切り捨てられるのが辛いと思われる」
「受験勉強に誰のサポートも得られないのは孤独すぎる。せめて両親くらいは寄り添ってほしい(中略)親が赤ちゃんの家に話をするだけでもストレスが軽減されるような気がする」
そうなのだ。投稿者は、自分の苦しみが理解されなかったことに、より大きな怒りを感じている。
「怒り」という感情はやっかいなもので、「赤ちゃんが泣いている」という事実自体は、他人からすればただそれだけのこと。それ以上でも以下でもない。それに腹が立つのは、勉強や睡眠が自分の思うようにできなかったからだ。そこに"わかってもらえない辛さ"が加わり、「いい加減殺意湧くわ」とまで書く、攻撃的な怒りに発展してしまった。
投稿者の親御さんは、わが子に我慢させるしかなかったとしても、せめて辛い気持ちを共有してあげるべきだろう。可能ならば寝る場所を変えたり、外で勉強するためのお金を出したり、「一緒に対策を考える」だけでも違うのだ。
若い投稿者は、怒りをネットに吐き出し多くの同情や励ましの声を受けた。少しは心が落ち着いただろうか。大事な時期を、冷静に対処し乗り切って欲しい。