厚生労働省は11月7日、育児と仕事の両立をテーマに、企業と従業員に実施した調査結果(速報)を発表した。
調査は、企業と労働者の双方を対象に2017年9月~10月に行なった。従業員数51人以上の企業635社と、20~40代の末子が満1歳以上満3歳未満の働く人3094人から回答を得た。
今年の流行語大賞には「ワンオペ育児」がノミネートされた。保育園問題も深刻で仕事と育児の両立は容易ではない。
両立の必要性は男女差開く 育休取得率女性の9割に対して男性は1割に届かず
男性の仕事と育児の両立支援の必要性を「感じている」と回答した企業は55.9%。一方で女性に対しては80.9%と、男女で差が開いている。
育児休業の利用実績を聞くと、「女性のみの利用者がいる」の回答が55.4%で一番多く、「男性・女性両方で利用者がいる」は8.4%にとどまる。男性の育児休業取得率の平均値は正社員4.2%で、「取得0%」という企業は87.6%に上る。対して女性の育休取得率は95.2%で男性を圧倒している。
男性社員の育休取得をしやすい環境づくりについては、「特に実施していない」が70.4%。育児参加促進への取り組みについても「実施していない」という回答が85.2%に上っている。
男性の両立支援の推進の障壁には、「職種・仕事内容・部署によって仕事と育児との両立のしやすさが異なる」が42.4%で最も多く、「職場の理解・賛同・協力を得ることが難しい」(31.9%)が続いた。
育休取得期間が長い男性ほど仕事に工夫
労働者に行なった調査によると、育児休業を取得した男性社員の48.5%が、「育児への意欲が高まった」と回答している。取得期間も関係しており、「3日以内」では31.9%だが、「1か月より長い」では58.1%が「育児への意欲が高まった」と答えている。
仕事への意欲も高まる。「仕事にやりがいを感じるか」という質問に対して「感じる」と答えた男性の割合は、育休取得が「3日以内」では15.1%だが、「1か月より長い」では31.1%にまで上がる。
仕事と育児を両立させるため、男性社員は仕事のやり方を工夫する。工夫内容も育休取得期間によって異なり、「8日~1か月以内」では、「業務に優先順位をつける」「スケジュールの共有」が増えるが、「1か月より長い」人では、「業務の棚卸し」や「業務の分担の調整」などの対策をする人の割合が高くなる。
これまでの仕事のやり方を改善することによって、仕事と家庭ともに充実させ、その結果仕事によりやりがいを見出しているのかもしれない。