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石田ゆり子、女性人気の理由は自然体にあり? 『逃げ恥』『民衆の敵』の役柄を読む

2017年11月13日 08:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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 現在放送されている月9ドラマ『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系/以下、『民衆の敵』)に出演中の石田ゆり子。ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系/以下、『逃げ恥』)や『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(カンテレ・フジテレビ系)などに立て続けに出演し、絶大な支持を得ている。そんな彼女はドラマだけでなく、数多くのCMにも出演し、インスタグラムでは120万人を越えるフォロワーがいるなど、アラフィフとなった今も人気が絶えない。なぜ、彼女はこんなにも幅広い世代の男女から愛されるのか? その理由を紐解いてみたい。


参考:『逃げ恥』“百合ちゃん”が年齢や性別を超えて支持されるワケ 「自由に生きる、美しくなる」説得力


 まず石田ゆり子のイメージとは何かを考えると、美しい大人の女性というのが思い浮かぶ。ただ、その美しさはあくまでも自然体のそれであり、アラフィフとは言え“美魔女”や“熟女”という言葉は似合わず、年齢を超越した可愛らしさがある。KIRIN FIREのCMで見せる、遠くから働く男性を見つめて「ありがとう、お疲れさま」と囁くその姿は、もはや“菩薩”と言っても良いかもしれない。


 一方で、そんな優しさと包容力に満ちあふれている彼女だからこそ、その色香も引き立っている。97年の『不機嫌な果実』(テレビ朝日系)を筆頭に、不倫、シングルマザー、未亡人など、禁断の大人の恋愛劇を演じるのが得意分野という印象だ。2016年のドラマ『コントレール~罪と恋~』(NHK)や今年放送されたドラマ『CRISIS』などでは、許されざる恋に落ちる役を演じていた石田。だが彼女は、世の女性が一歩踏み出してみたい感情や願望を嫌味なく表現しているともいえる。だからこそ、たとえ不倫劇であっても共感と人気を得ているのだろう。もちろん男性視聴者たちの心もグッと掴んで離さない。


 また、猫写真の多い自身のインスタでは惜しげもなくすっぴんを披露するなど、自然体のままの写真が反響を呼んでいる。エッセイやインタビューなどではアンチエイジングを否定し、歳をとることは劣化ではないと語る石田。その前向きな哲学が、人々の支持を得ているのは間違いないだろう。


 昨年大ヒットしたドラマ『逃げ恥』では、ヒロイン新垣結衣の伯母・百合ちゃん役に。男性経験のない独身キャリアウーマンを熱演した。後輩を引き連れしっかり仕事をこなす女性だが、時折見せるちょっとトボケた素顔が実に可愛らしく、男心をくすぐる。さらに極度のイケメン懐疑症というのもまたギャップだ。石田が男性経験がない役を演じるというのは、場合によってはリアリティを欠いた役になっていたはず。だが、石田演じる百合ちゃんの言動には、その落ち着いたトーンゆえの説得力があり、多くの視聴者の心を打つものであった。特に最終回で放ったセリフ、「私たちの周りにはね、たくさんの呪いがあるの。(中略)そんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまいなさい」は大反響を呼んだ。独身女性が今まで言いたくても言い返せなかった心境を、見事に表現していたからである。もちろん脚本や原作の素晴らしさもあるのだが、普段、石田が提言している言葉ともリンクしているからこそ、彼女から出てきた台詞には深みと重みがあった。


 そして今、人気絶頂期のタイミングで出演しているドラマが『民衆の敵』。石田が演じるのは、出産後に元の職場へと復帰を目指すシングルマザー。一つの社会問題を体現するキャラクターでもあり、今や女性の代弁者となっている石田がキャスティングされたのは納得の結果だ。


 今回は篠原涼子演じる主人公をサポートする役なので、今のところ石田の魅力は抑えられている。だが、シングルマザーである理由や、元政治部新聞記者ゆえの市議会のドンとの因縁など、今後は重要な役目がありそうだ。2000年のドラマ『オヤジぃ。』(TBS系)で高い評価を得たシングルマザー役。同ドラマでは、石田の魅力をシングルマザー役にどう活かされるかで、ドラマ自体の人気も変わってくるだろう。


 さて、石田ファンにとっては既に次のドラマ、2018年1月クールのテレビ朝日系『BG~身辺警護人~(仮)』も気になるところだ。木村拓哉主演のボディーガードもので、石田は護衛対象者となる厚生労働大臣役を演じる予定。奇しくも政治ものが続き、石田は政治記者から大臣へと出世。木村とは2004年の『プライド』(フジテレビ系)以来14年ぶりの共演となるだけに、長年人気と実力を保ってきた二人がどう交わるのか、期待が膨らむ。(文=本 手)