11月12日現地時間午後2時、ブラジルGP決勝が行なわれた。土曜からは一転、この日は朝から快晴となり、気温は27度、路面温度は59度まで上がっている。
予選でクラッシュを喫したルイス・ハミルトンはICE、TC、MGU-Hをスペックの異なる新品に交換し、ピットレーンからのスタートを選んだ。合わせてギヤボックスも新品に交換している。
その他、土曜までのパワーユニット投入で10グリッド降格のダニエル・リカルドは14番、同じく10グリッド降格ブレンドン・ハートレーが18番、25グリッド降格のピエール・ガスリーが19番グリッド、そしてギヤボックス交換のランス・ストロールが16番グリッド、マーカス・エリクソンが17番グリッドに降格されてのスタートとなった。
Q3に進出した上位勢がスーパーソフトでスタートするのに対し、リカルドはソフト。中団勢もスーパーソフトが大半で、最後尾のエリクソン、ガスリー、そしてピットスタートのハミルトンのみがソフトタイヤを履いた。キミ・ライコネンはテレメトリーの電波が微弱となり、レース中にテレメトリーを失う可能性を抱えながらのスタートとなった。
スタートでは2番グリッドのセバスチャン・ベッテルが好発進でターン1までにバルテリ・ボッタスのインを突いて首位に躍り出た。その後方ではターン2で混乱があり、リカルドがスピンオフ。そのリカルドとケビン・マグヌッセンに挟まれて行き場をなくしたストフェル・バンドーンがサスペンションを壊してリタイア。マグヌッセンも1周目を終えることなくレースを終えた。
ターン6ではロマン・グロージャンがイン側でリヤが流れてアウト側にいたエステバン・オコンに接触。オコンはタイヤバリアにクラッシュし、マシンにダメージを負ってリタイアとなった。
これでグロージャンには10秒加算ペナルティが科され、リカルド、グロージャン、そしてパスカル・ウェーレインは1周目にピットインしてタイヤ交換を行なう。
この事故処理のためにセーフティカーが導入され、レースは6周目に再開。ここで6番手フェリペ・マッサは前のアロンソを抜いて5番手に上がった。
順位は首位ベッテル、2番手ボッタス、3番手ライコネン、4番手マックス・フェルスタッペン、5番手マッサ、6番手アロンソ、7番手セルジオ・ペレス、8番手ニコ・ヒュルケンベルグと9番手カルロス・サインツJr.のルノー勢、そして10番手にはスタート直後の混乱を上手く縫ったガスリーが上がってきた。
しかし後方から追い上げるハミルトンとリカルドは次々と前走車をパスしていき、あっという間に入賞圏内に近付いてくる。ハミルトンは14周目にはターン1~3でサイドバイサイドの走りでペレスも抜いて7番手まで上がってきた。
首位に立ったベッテルはじわじわとボッタスとの差を広げていき、3番手ライコネンは4タイヤのオーバーヒートによるムービングを訴えてボッタスからも離されていき、その後方4番手のフェルスタッペンはライコネンよりも速さがあるもののスタックしていると訴える。
一方、5番手マッサは上位勢に着いていけず遅れを取り始めるが、6番手アロンソはマッサの1秒以内について猛追するもののストレートが遅いため抜くことができない。
ハミルトンは20周目のターン1でアロンソ、21周目のターン4でマッサを抜いて5番手まで挽回、4番手フェルスタッペンとの差は10秒となり、ハミルトンはファステストラップを記録して猛追していく。
一方で2番手ボッタスもピットストップを意識して「ベッテルとのギャップを縮めろ」と指示されるが、ベッテルも反応して両者のギャップは1.5~2秒で変わらない。
27周目にボッタスがピットに飛び込んだのをきっかけに各車が続々とピットインしてソフトタイヤに交換。スタートから履くソフトタイヤが好調なハミルトンはステイアウトして暫定首位に浮上するが、翌周カバーしたベッテルはボッタスの直前でコースに戻り実質的な首位を守った。
その後方でもライコネンがフェルスタッペンの前で戻ることに成功している。アロンソとマッサの位置関係は変わらず、フォース・インディアはペレスの戦略をプランBに変更し、この間のタイムロスは承知の上で35周目までステイアウトさせ、レース終盤に若いタイヤでアタックを試みる。
ソフトタイヤで暫定首位を走り続けたハミルトンは43周目にピットインしスーパーソフトに交換してマッサの前5番手でコースに戻る。リカルドもピットインしスーパーソフトに換えて8番手アロンソの前で戦列に復帰し、47周目にはマッサを易々とパスして6番手に浮上した。
これで順位は首位ベッテル。2.5秒後方に2番手ボッタス、4.8秒後方に3番手ライコネン、8.8秒後方に4番手フェルスタッペン、そしてスーパーソフトでハイペースで走行するハミルトンは16秒後方の5番手、6番手リカルドは40秒の遅れをとっている。
7番手マッサと8番手アロンソは依然として2秒前後の差で争っている。その後方は9番手ペレス、10番手ヒュルケンベルグ、11番手サインツがやや離れて続く。
57周目にはハミルトンがフェルスタッペンの背後に迫り2台のバトルが始まる。59周目のターン1ではレイトブレーキでポジションを守ったフェルスタッペンだったが、続くターン4ではDRSを使われると為す術なく抜かれてしまった。
ハミルトンはこれで4番手に浮上し5秒前方の3番手ライコネンを追いかける。フェルスタッペンはリヤタイヤのタレが厳しくなり62周目にピットインし、リカルドの前で戻って順位は落とさなかったものの残り10周では上位を追い上げることは不可能となってしまった。
65周目、ハミルトンはライコネンの1秒以内に迫ってフェラーリとメルセデスAMGのトップ4台が5秒以内に密集するが、なかなか決定的なチャンスは訪れない。
そのままレースは71周目を迎え、順位が変わることなくチェッカードフラッグ。ベッテルがハンガリーGP以来の優勝を飾り、2位ボッタス、3位ライコネン、ハミルトンは表彰台に0.868秒届かず4位に終わった。5位フェルスタッペン、6位リカルドのレッドブル勢が続いた。
その後方でもマッサを先頭とする7位争いが激しさを増していたが、マッサが0.481秒差で7位を守ってフィニッシュ。ペレスは最後のメインストレートでアロンソに並びかけたが0.137秒届かず、アロンソが8位入賞を手にした。10位にはヒュルケンベルグが入り最後の1ポイントを獲得した。