2017年11月12日 11:32 弁護士ドットコム
アントニオ猪木さん(74)の生前葬が10月21日、東京・両国国技館で行われ、猪木さんは「世界が平和になりますように」との祈りを込めて、「行くぞー!! 1・2・3…ダーッ!!」と絶叫した。
【関連記事:「事故物件ロンダリング」次の次の入居者には告知せず契約…見抜く方法は?】
日刊スポーツの報道によると、猪木さんは、人間の死をテーマにした「千の風になって」の替え歌を熱唱。白装束を脱ぎ捨て、棺桶のふたにナックルパートをかまして、中から、「魂」ともいえる球を取り出して、高らかと掲げたという。
ここまで派手ではないにせよ、生前葬というイベント自体を聞く機会は増えてきたのではないだろうか。
葬式というと、お金の面が気になるが、通常の葬式の場合、税金の面から考えて、どのようなポイントがあるのか。また、生前葬の場合はどうなるのか。佐藤全弘税理士に聞いた。
そもそも葬式の費用と税金にはどんな関係があるのか。
「まず、葬式費用が関係する税金は相続税です。相続税では、一定の相続人が負担した葬式費用を遺産総額から差し引くことができるため、納める相続税が少なくなります」
葬式にかかるものであれば、すべて控除可能なのか。
「葬式費用として遺産から差し引くことができるものは通常以下のようなものです。
・火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
・遺体や遺骨の運搬にかかった費用
・お寺などに対して読経料などのお礼をした費用
・お通夜などにかかった費用
など。
反対に、以下のものは葬式費用として遺産から差し引くことができません。
・香典返しの費用
・墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
・初七日や法事などのためにかかった費用
など。
墓石などの買入費用は差し引くことができませんが、祭祀財産と呼ばれる墓石、仏具などについては、相続税が課税されないため、これらを生前に購入しておくことで、相続税対策となります。
しかし、祭祀財産でも骨董的価値のあるものや、金の仏具など投資対象となるものは相続財産として課税されるため注意が必要です。
もし、購入の予定があるのであれば、生前に検討するのも良いかもしれません」
では、生前葬の場合はどうなるのか。
「最近よく生前葬といった言葉を耳にしますが、生前葬とは、自分が生きているうちに自分の葬儀を行うことで、家族や知人に直接感謝の気持ちを伝えることができるものとして注目されているようです。
相続税では、葬式費用は遺産から差し引くことができますが、生前葬の場合は、あくまで亡くなる前に使った費用ですので、通常の支出と変わりません。ですから、葬式の費用から差し引くことはできません。
ただ、生前葬を開催するために、多額の借金をした場合などは、死後に債務が残るので、控除の対象にはなります」
【取材協力税理士】
佐藤 全弘(さとう・まさひろ)税理士
お客様の立場にたって、わかりやすい税金を目指すとともに付加価値の高いサービスを提供することをモットーとしてお客様のニーズに応えられるパートナーを目指します!
事務所名 : 佐藤全弘税理士事務所
事務所URL:http://satouzeirishi.com/
(弁護士ドットコムニュース)