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欅坂46「サイレントマジョリティー」はなぜアイドルたちを魅了する? 楽曲のパワーとメッセージ

2017年11月12日 07:52  リアルサウンド

リアルサウンド

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 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人が出演した「稲垣・草なぎ・香取3人でインターネットはじめます『72時間ホンネテレビ』」(AbemaTV)グランドフィナーレの企画「72時間ホンネライブ」にて、欅坂46の「サイレントマジョリティー」が歌われた。放送中には、Twitterトレンドに「サイマジョ」「サイレントマジョリティー」の2ワードが入り、大きな反響があったことが分かる。2016年4月に欅坂46のデビューシングルとしてリリースされ、年末には『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)の舞台でも披露された「サイレントマジョリティー」は、なぜここまでに愛される楽曲となったのか。


(関連:稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による“革命の3日間” 『72時間ホンネテレビ』を振り返る


 「72時間ホンネライブ」は、小泉今日子「学園天国」や忌野清志郎「雨あがりの夜空に」など、3人が“歌いたい”72曲をセレクト。欅坂46のメンバー人数である“21”曲目、グループカラーの“緑”のサイリウムが会場に輝いたことも話題となった。しかし、<君は君らしく生きて行く自由があるんだ/大人たちに支配されるな/初めからそうあきらめてしまったら/僕らは何のために生まれたのか?><夢を見ることは時には孤独にもなるよ/誰もいない道を進むんだ/この世界は群れていても始まらない/Yesでいいのか? サイレントマジョリティー>と3人が、今「サイレントマジョリティー」を歌うことには、メッセージ性を感じずにはいられなかった。


 YouTubeに公開された欅坂46「サイレントマジョリティー」のMVは、7900万回を突破(11月12日現在)し、“期間限定公開”は延長され続けている。リリースから1年半が経過した今でもiTunesの「トップソング」ランキングの100位以内に入るロングセラーとなっている。長い間、多くの者の心を惹きつけている証拠だ。


 グループの手を離れ、「サイレントマジョリティー」が一人歩きしていったのは、昨年の夏『2016 FNSうたの夏まつり』(フジテレビ系)にて、48グループと坂道シリーズの混合選抜チーム「48&46ドリームチーム」にて披露された頃。センターを務めたのは、乃木坂46の生駒里奈。その洗練されたパフォーマンスは、ファンの間でも語り草となっている。同時期には、HKT48がコンサートの幕開けに「サイレントマジョリティー」を選び、今年NMB48も『ARENA TOUR 2017』にてパフォーマンス。48グループと坂道シリーズの垣根を越えた楽曲に成長していった。


 「サイレントマジョリティー」には、「大人からの抑圧に対抗する自我の芽生え」という楽曲テーマがある。センターに平手友梨奈を据えたダンスには「民衆を導く自由の女神」がイメージされているが、マイノリティが多数派に立ち向かう姿は絵画が示すように、美しく、自身を鼓舞させる。「サイレントマジョリティー」という楽曲が持つパワーは“抑圧に反抗する”という、ともすれば煙たがられやすいテーマ性を、女性アイドルがキャッチーに世に放ったこと。そして、他の曲では替えが効かないその独自性が多くの人々によって歌われる理由として挙げられるだろう。


 国民的に愛される稲垣、草なぎ、香取が、「サイレントマジョリティー」を“歌いたい”と選び、歌ったことは、楽曲が多くの人々によって歌い継がれていく可能性を予感させる出来事であった。(渡辺彰浩)