11月11日、スーパーGT第8戦が開催されている栃木県のツインリンクもてぎで、DTMドイツツーリングカー選手権の3台のマシンがスーパーGT500クラスの3台とともにデモランを行い、日独シリーズの車両による歴史的な競演が実現した。この走行の後、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表と、DTMを運営するITR e.Vのゲルハルト・ベルガー代表が、共同で記者会見に臨んだ。
コストダウンと迫力あるレースを実現し、日本とドイツの6メーカーが競い合う環境を作り上げるべく、2008年から交渉が続けられてきた『クラス1』規定。10月のDTM最終戦ホッケンハイム、そしてこのもてぎで実現した日独両シリーズのマシンによるデモランは、その規定の完成、両シリーズが実現を目指している“クラス1世界一決定戦”となる交流戦の実現に向けても、大きなステップになったと言える。
その走行を見届けたGTA坂東代表とITRベルガー代表は、ふたりで共同記者会見に臨んだ。かつてはマクラーレン・ホンダやフェラーリ、ベネトン等を駆りF1で活躍したベルガーは、「いつも日本に戻ってくることは自分にとって嬉しいこと。日本ではたくさんのレースを戦ったし、ホンダのためにも戦っていたので、多くの日本のファンがいる。また、今回日本に来て、多くの友人たちに再会できたことも嬉しい」と語った。
また、今回もてぎでスーパーGTに接したベルガーは、「先日、ホッケンハイムにGT500を持ってきてもらい、ヨーロッパのファンにスーパーGTを紹介する試みを行ったが、それは大成功だった。今回、スーパーGTに招待してもらって、DTMドライバー、マシンを紹介したいと思ったが、スーパーGTの雰囲気は本当に素晴らしいし、GTカー(GT300)も一緒に走っているこの環境は興味深かった。ファンに提供しているプラットフォームはすごく充実している」とシリーズを評した。
一方、坂東代表はデモランを見届け、「ホッケンハイムでGT-RとLC500が並んだときも、胸に熱いものがありましたが、今回もてぎでDTMの音、においをスーパーGTの実況とともに日本で見ることができ、感じるところがありました」と語った。
「先月、DTM最終戦でヨーロッパのファンの前でGT-RとLC500をお見せすることができました。そして、今回ここに3台持ってきて、日本のファンに見せることができた。ITR、ベルガー代表のもとにドイツのマニュファクチャラーに協力してもらい、こうして実現できたことを光栄に思います」
■「今後も話し合いを進め、ファンに素晴らしいレースを」
また、この日もてぎで実現した6台のデモランの先に見据えるものについては、坂東代表、そしてベルガー代表ともに、クラス1車両による“交流戦”だと口をそろえた。
「これまで進めてきたスーパーGTとDTMの交流戦に向けた、第一歩になったと思います。長年進めてきたステップを、さらに進めていけるようになったのではないでしょうか。今までの言葉だけでなく、目の前で車両を見てもらえることで、さらなる一歩にできたと思う」と坂東代表。
「今後、交流戦、コストの問題についてはお互いに協力しながら、ファンにどう楽しんでもらえるかを考えていきたい」
また、ベルガー代表、坂東代表ともに、この週末を含めてさらに話し合いを進め、規定の統一化についても前進させるとしている。具体的な交流戦の開催年はまだ明らかにされてはいないが、DTMが2リッター直4直噴ターボエンジンを使用する2019年がまずはターゲットになるだろう。
「坂東さんと進めているのは、(DTMとSGTの)友人関係を進めるだけでなく、規則の統一を進めることだ」とベルガー代表は語る。
「日独のマニュファクチャラーがまったく同じ規則を使うことで、お互いにレースをするこができるし、日本のメーカーがヨーロッパでレースに出ることもできる。メーカーが資金を使わずに、お互い素晴らしいレースをファンに見せることができるはずだ」
「さらにミーティングをもって、どんなステップを重ねていけるか検討している。大きな狙いとしては、ヨーロッパのファン、日本のファンに向けて、大きなレースを提供したい」
日本とドイツのメーカーが規定をそろえ、お互いのシリーズに出場したり、交流戦が実現すればファンにとっては大いに楽しみなレースとなるはず。両代表が語るとおり、今回のシーンはそんな夢のシーン実現に向け、世界への大きな発信となったはずだ。