2017年11月11日 10:22 弁護士ドットコム
雨の日などに重宝するタクシー。こちらから歩いて行かなくても、向こうから近くに停まってくれるのがありがたいですよね。しかし、時には「過剰サービス」になっている場合も…。
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よく見かけるのは、客の乗降車のため、横断歩道の上に停める光景です。歩行者からすると、タクシーを避けて渡らないといけないし、後続車のドライバーであれば、ヒヤリとすることもあるでしょう。
横断歩道の上で停まって、乗客を乗り降ろしするのは問題ないのでしょうか。木野達夫弁護士に聞きました。
横断歩道の上に停まっても大丈夫なのでしょうか。木野弁護士は「問題があります」と答えます。
「道路交通法44条違反です。交差点や横断歩道では駐車も停車も禁止されていますので違法です。タクシーも例外ではありません。客待ちの場合も、横断歩道の上は当然違法です」
交差点や横断歩道から5メートル以内は駐停車禁止なので、真上でなくても、横断歩道付近に停めるだけで問題になる可能性が高いようです。
「刑事罰としては、『放置駐車違反』(直ちに運転をすることができない状態)の場合、『15万円以下の罰金』、放置駐車以外の『駐停車違反』は『10万円以下の罰金』です。
ただし、実際は反則金(青切符)での処理がほとんどでしょう。反則金は普通車の場合、1万円~2万円。違反点数は1点~3点です」
もしも切符を切られた場合、反則金を支払うのはタクシードライバーと運営会社、どちらになるのでしょう。
「『刑罰』の対象は個人(運転者)のみです。『反則金』の場合は、運転者が『反則金』を払わない場合には、車の車検上の『使用者』(通常は車の所有者)が『放置違反金』を納めることになります(2006年より開始された制度です)。
ですので、車の車検上の『使用者』が会社であれば、会社が『放置違反金』を支払うことはあり得ます」
客を乗せるため、急に車線を変えたり、減速したりするタクシーも見かけます。
「タクシーといえども法律上例外ではないので、他の車両に迷惑を掛けるような急ブレーキや進路変更等は違反です(道路交通法24条、26条の2)」
とはいえ、ドライバーからすれば、それでは客を捕まえられないという面もあるでしょう。利用者としても、こうした法律を把握しておき、ドライバーが法に触れなくても済むようにしたいですね。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
木野 達夫(きの・たつお)弁護士
兵庫県弁護士会所属。昭和63年大阪府立大手前高校卒業、平成7年神戸大学法学部卒業。平成12年司法試験合格。平成21年より梅田新道法律事務所パートナー弁護士就任。平成24年兵庫県弁護士会に登録変更し、宝塚花のみち法律事務所にて執務開始。平成26年兵庫県弁護士会伊丹支部副支部長
事務所名:宝塚花のみち法律事務所
事務所URL:http://www.hananomichi-law.com/