安倍内閣の支持率が時事通信などの世論調査で20%台まで下落し、「危険水域」に入った。しかしニコニコユーザーだけに限れば、安倍内閣を「支持する」と答えた人は51.7%に上り、「支持しない」の24.1%を大きく上回っている。ドワンゴが7月21日に発表した「月例ネット世論調査」によって明らかになった。(取材・文:オリュンポス魔威孤)
自民党が惨敗した都議会選の結果は「よくなかった」と思う人が3割超
ニコニコ動画や生放送などを利用しているユーザーを対象に、7月20日の21時18分から一斉に調査を行った。およそ5分間で5万1559人から回答があったという。
支持政党は自民党(42.9%)が最も多く、日本維新の会(2.9%)や共産党(2.5%)を大幅に上回った。ただし「支持政党はない」が43.6%だった。男性だけに絞ると、内閣支持率は57.5%に達し、自民党を支持政党として挙げた人も47.2%になる。
時事通信やANNの世論調査結果を受けて、「支持率急落の一番の原因はどれだと考えますか」と聞いたところ、「その他」が34.1%で最も多かった。「閣僚の顔ぶれがよくない」(17.2%)、「首相が信頼できない」(16.1%)がそれに続いた。
加計学園問題について、安倍首相と前川喜平前事務次官のどちらの証言を信用するか聞いたところ、安倍首相を信じるという人は47.0%で、わからないという人は34.2%。前川前次官を信用するという人は18.9%に留まった。
7月2日に投開票された東京都知事選では、「都民ファーストの会」が圧勝、自民党が惨敗、公明党と共産党が堅調といった結果になった。この選挙結果が「よくなかった」と答えた人は33.4%で、「よかった」の31.6%をわずかに上回っていた。
「アンケートに回答した人が偏っている可能性がある」
7月17日に発表された共同通信の世論調査では、安倍内閣の支持率が35.8%まで下落。前月比9.1ポイント減で、2012年の第2次安倍政権発足以降で最低を記録した。加計学園についての政府の説明に「納得できない」という回答が77.8%に達した。同日に発表されたANNの世論調査でも、内閣支持率は29.9%まで下落していた。
加計学園問題や稲田朋美防衛相の失言に加え、「共謀罪」法案の強硬採決や森友学園問題……。こうした問題が立て続けに起これば、内閣支持率が急落するのも無理はない。しかし先日、キャリコネニュースが安倍内閣の支持率低下を報じたときも、ニコニコニュースのコメント欄には「あれだけの偏向報道をしたから、今の数字になっているのは間違いない」といった書き込みが寄せられた。あくまでもマスコミがいけない、ということのようだ。
ニコニコでは内閣支持率も、4月57.2%、5月54.4%、6月52.7%とほとんど変化が見られず、世間から乖離している印象を受ける。こうした違いはなぜ生じるのか。ITジャーナリストの井上トシユキさんは、「一般の世論調査とは異なり、アンケートに回答した人が偏っていただけかもしれない」と語った。
共同通信の世論調査では、全国の有権者を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけている。一方、ニコニコは登録ユーザーを対象にしている。ユーザーの男女比率は男性66%で女性が34%、20代が40%で30代が24%と若い男性が中心になっていることがわかる。調査対象者の属性に偏りがあることは否めない。
また井上さんは、「ネットでは『マスゴミが印象操作をして自民党を貶めようとしている』といった論調があり、それに影響を受けている可能性はあるのではないでしょうか」とも話していた。