2017年11月10日 10:43 弁護士ドットコム
お笑いトリオ・インスタントジョンソンのじゃいさんが妻と「離婚約」をしていることがテレビ番組「ミヤネ屋」などで紹介され、話題となった。
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じゃいさんが5月に公開したブログによると、19歳のころから妻と付き合い始め、15年経ったころに結婚。現在結婚して10年が経ったが、2歳になる息子が小学校に入学する4年後に離婚する「離婚約」をしているという(年齢などは全て5月のブログ公開当時)。
妻から、慰謝料や養育費は不要だが、今までに、じゃいさんが渡したお金を貰うと告げられているそうだ。妻は再婚する意思があるそうだ。
離婚約は、単なる口頭の場合もあれば、何らかの書面にすることも想定されるが、一度、離婚約をしてしまったら、あとで離婚したくないと思った場合に、不利になるリスクはないのだろうか。川見未華弁護士に聞いた。
「離婚の方法としては、夫婦の話し合いによる『協議離婚』と家庭裁判所が関与する『調停、裁判等による離婚』があります。
協議離婚が有効に成立するための要件は、(1)離婚の意思の合致と(2)離婚の届出です。そして、離婚届出の作成時や受理時に、その意思の合致が存在していることが必要です」
離婚約はどう位置付けられるのか。
「事前に離婚をする合意(離婚の予約)は、離婚届出時の真意確保という観点から、法律上無効であるとされています。
そのため、離婚の予約に関する合意をしたり、その旨の書面を作成した場合であっても、その合意や書面に基づいて、離婚の届出をすべき法律上の義務を負うことはありません。
離婚を前提に行われた財産分与や子の親権者指定などに関する協議も効力を生じないとされています。
万が一、離婚の予約時に作成した離婚届出書が、その後に気持ちが変わって離婚をしたくないと思ったにも関わらず、配偶者から役所に提出されてしまった場合には、離婚の無効を争うことができます」
その後のプロセスはどうなるのか。
「一方の当事者が離婚意思を翻した場合、協議離婚をすることができませんから、他方の当事者が離婚を望む場合には、離婚調停や離婚裁判に進むことになります。
その場合でも、過去に離婚の予約をした事実があるからといって、婚姻関係が破綻している(離婚原因がある)との認定に直結するわけではありません。
ただし、過去に離婚の予約をした事実は、離婚原因としての『婚姻を継続し難い重大な事由』(民法770条1項5号)の有無の判断に当たって考慮されるべき事情の1つとなると考えられます」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
川見 未華(かわみ・みはる)弁護士
東京弁護士会所属。家事事件(離婚、DV案件、親子問題、相続等)及び医療過誤事件を業務の柱としながら、より広い分野の実務経験を重ねるとともに、夫婦同氏制度の問題や福島原発問題等、社会問題に関する弁護団にも積極的に取り組んでいます。
事務所名:樫の木総合法律事務所
事務所URL:http://kashinoki-law.jp/