中学で不登校になってしまっても、夜間中学に行くという選択肢が広がるかもしれない。文部科学省は11月7日、「夜間中学等に関する実態調査」を発表した。
現在、夜間中学は、東京都や千葉県、大阪府などの都市部を中心に全国で31校設置されている。今回の調査では、新たに80か所の自治体が開設を検討していることが明らかになった。
松戸市で新設決定、「義務教育修了者も夜間中学に入り直せるようになった」ことが影響
千葉県松戸市と埼玉県川口市ではすでに設置が決定している。松戸市教育委員会の担当者は、キャリコネニュースの取材に対して、「2019年4月の設置を予定している」と話した。
「決定の背景には昨年末に『教育機会確保法』が制定されたことがあります。さらに義務教育を修了した、16歳以上の生徒が夜間中学に入学できるようになったことも影響しています。不登校などであまり登校しないまま卒業した、いわゆる『形式卒業者』が入学して、学び直せるようになったのです」
「教育機会確保法」では、不登校の生徒の教育機会を確保するため国や自治体が財政上の措置を講じることを求めている。文科省は、同法が今年2月に施行されたことを受け、今回の調査を実施していた。
また「形式卒業者」については、「一定の要件の下、夜間中学での受入れを可能とすることが適当」という通知が文科省から2015年に出されている。
「海外からの生徒で義務教育を修了できていない生徒が多数」
今回の調査によると、夜間中学に通う生徒は全国で1687人(2017年7月時点)おり、1356人(80.4%)は日本国籍を持っていない。そのうちの多くが中国出身者(568人)で、ネパール(225人)、韓国・朝鮮(202人)出身の生徒も多い。年齢別に見ると、60歳以上が27.0%と最も多く、15~19歳(20.3%)、20~29歳(16.9%)がそれに続く。
日本国籍を持っている人の入学理由は、「中学校教育を修了しておきたいため」が47.7%と最も多い。一方、外国籍の生徒の場合は「日本語が話せるようになるため」(33.3%)という理由で入学する人が多い。
ある夜間中学の教員は、キャリコネニュースに対して、生徒の実像を語った。
「戦後の混乱期には学校に行けなかったという人が中心でした。しかし最近では、海外出身の生徒が増えてきています。日本国籍を持っているものの海外で生活していたという子もいれば、途中で日本に来たという子もいます。9年間の義務教育を修了しないと高校に進学できないため、通学しているという子が多いです。不登校の子もいます」
この中学では、17時台から21時台まで授業を行うが、「中学で学習する内容を授業で教えている」という。