ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、先週発表されたFIAとF1による新エンジンルール案のコンセプトに賛意を示した。
10月31日、FIAとF1はF1マニュファクチャラーに対し、2021年以降の新たなパワーユニットに関する規則案を提示した。
新規則においては、コストを削減すること、市販車との関連性を維持するためハイブリッド技術を残すこと、マシンのサウンドを改善することがターゲットとされている。今回の提案では、1.6リッターV6ターボハイブリッドエンジンを維持しつつ、サウンドを向上させるために最高回転数を引き上げ、MGU-Hは撤廃、MGU-Kが強化されることなどが明らかにされた。
今週火曜にはF1ストラテジーグループ会合が行われ、この提案についてさらに議論が行われたものとみられる。
FIAとF1側の提案に対する最初の反応として、フェラーリ、メルセデス、ルノーの首脳陣は、F1が抱える問題を解決するものかどうか疑問であるとの声を挙げた。しかしシュタイナーは、もっと情報が必要だとしながらも、概ね提案に賛成している。
「彼らは、音を大きくし、公平性を高め、コストを削減するという自分たちが設定した目標を達成しようとしている。そうしたことを目指しているのだ」とシュタイナーは述べた。
「出発点のコンセプトとして優れたものを提示してきたと考えている。これから詳細が技術担当者たちによって詰められていくだろう。提示されたコンセプト自体は変わることはない」
「そしてこれからは、より大きなサウンド、カスタマーチームのための公平性の向上やコスト削減という、彼らが設定した目標を達成するため、コンセプトの詳細に取り組んでいく必要がある。こういった目標が達成されることを願っている」
サウンドの件はファンからの大きな要望であり、シュタイナーもその気持ちは十分理解できるという。
「音の問題は、気にしなければさほど重要なことではない。単に音なのだから」
「(だが)ヒストリックカーの走行を見ていると、マシンが通り過ぎるときに聞こえるV10やV12のエンジン音はそれは美しい。多くの人々があのサウンドを好んでいると思う」
「今はターボがついているので、V10やV12のような音が出るようにはならないだろう」
「しかし改善することはできる。(新規則案の)目標は、現在のエンジンより最高回転数を3000rpm引き上げることであり、それができればより大きな音を出すことは可能だ」
「以前のようなエンジンになることはないだろうが、少し音が大きくなればいいと思う。ファンたちが遠くからマシンが近づいてくる音を聞ければそれは素晴らしいことだ」
F1の将来のエンジンについて考慮するとき、独立系マニュファクチャラーの参入を促す必要性を考慮に入れなければならず、そういった面で新基盤に関するコストは大きな問題になってくる。しかしシュタイナーは、他の要素とのバランスが重要だと考えている。
「それは他のことと同様に重要だ。ただ、何よりも重要なことだとは思わない。なぜなら安くエンジンができてもファンが気に入らなかったら、それは意味があるだろうか?」とシュタイナーは問いかけた。
「ファンが好む音と、F1で望まれている新規マニュファクチャラーの参入という問題のなかで、良い妥協点を探る必要がある」
「コストの要素は新規参入チーム、既存のチーム、また、自前のエンジンを持たない我々のようなチームにとっても重要だ。F1をより良いものにするためにやらなければならないことの一部なのだ」